スウェーデン BECC”U”Sで再現可能なCO2除去型エネルギー基盤構築へ

村山 大翔

村山 大翔

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10月13日、ノルウェーのアーカー・ソリューションズ(Aker Solutions)は、スウェーデンのクライメートテック企業ノードベックス(Nordbex)と、バイオエネルギー炭素回収・貯留(BECCS)プラントの欧州展開に向けた覚書(MoU)を締結した。両社はまず、スウェーデン南部SE4電力地域で2029年前半稼働予定の「Nordbex 1」を共同開発し、森林廃棄物を燃料に電力と熱を生みつつCO2を効率的に回収する再現可能型の炭素除去施設としてモデル化する計画である。

覚書に基づき、ノードベックスがプロジェクト開発を主導し、アーカー・ソリューションズはプロジェクトマネジメント、オーナーズエンジニアリング、EPCm(設計・調達・建設マネジメント)業務を担う。両社は技術力と経験を融合させ、欧州各地で展開可能なBECCSプラントのポートフォリオ構築を目指す。

両社の協業は2023年に始まり、当時アーカー・ソリューションズのコンサルティング部門「Entr」が「Nordbex 1」に関するエンジニアリング研究を受託した。今回の覚書はその成果を踏まえ、共同開発を本格化させる新たな段階を意味する。

アーカー・ソリューションズの新エネルギー担当上級副社長ヘンリク・イナドミ氏は「ノードベックスの掲げる『安定した電力と熱を供給しつつCO2を安全に除去する』というビジョンは、当社の持続可能で革新的なエネルギーソリューションの方向性と完全に一致する」と述べた。さらに「将来を見据えたBECCSプラントの実現を支援し、世界的な脱炭素化アジェンダの形成に貢献したい」と強調した。

覚書には、アーカー・ソリューションズに対し、ノードベックスが今後開発する「BIOCCUS 2」「BIOCCUS 3」への独占権および次期案件への優先交渉権が付与されている。これにより、同社は欧州全域でのBECCSインフラ整備における中核パートナーとしての地位を確立する見通しだ。

ノードベックス共同創業者で最高商務責任者(CCO)のカール・ベルグルンド氏は、「BECCSは数十年前から認知されている炭素除去手法だが、当社は『再現可能・資金調達可能・拡張可能』な事業モデルによって、安定した電力・熱の販売と高品質な炭素除去証書の発行を両立させる」と述べた。その上で、「アーカー・ソリューションズの大規模プロジェクト実行力とCCUS分野での実績は、気候ポジティブなエネルギーインフラ実現を大きく加速させる」と強調した。

「Nordbex 1」は、森林廃棄物をバイオ燃料に転換し、地域コミュニティに電力と熱を供給しながらCO2を回収・貯留する施設として設計されている。将来的には、発電収入とカーボンクレジット販売収益の両立を図る事業モデルとして注目される。

スウェーデンはEU内で炭素除去(CDR)技術の先進市場と位置付けられており、本プロジェクトは「再現可能なBECCSモデル」として欧州全域への横展開が期待される。両社は今後、他地域への展開計画を2026年中にも策定する見通しである。

参考:https://www.akersolutions.com/news/news-archive/2025/aker-solutions-signs-mou-with-nordbex/