米カリフォルニア州のスタートアップ企業Aircaptureは、6月5日、5000万ドル(約75億円)規模のシリーズA資金調達を実施した。Larsen Lam気候変動財団が主導し、モジュール型のDAC(Direct Air Capture:直接空気回収)システムの拡大と商業展開を加速する目的だ。
Aircaptureは、食品、飲料、製造業、農業などの分野で使用される高純度CO2を現地供給することで、CO2の運搬コストを削減し、脱炭素化を支援する。
同社のDAC技術は、既存の高コストかつインフラ依存の方式とは異なり、収益性と拡張性を兼ね備えた設計となっている。これにより、CO2の供給における価格変動や地政学的リスクを回避できるという。
CEOのMatt Atwood氏は、「DACによるCO2をオンサイトで提供することで、即時の経済的価値を創出し、従来型のサプライチェーンに比べて大幅に環境負荷を削減できる」と述べた。
Aircaptureは、XPRIZE「Carbon Removal」受賞の実績を持ち、Fortune100の飲料メーカーを含む複数のグローバル企業と長期契約を締結済みである。これらの契約は「CO2 as a Service™」モデルに基づき、CO2を継続的に供給しつつ、再利用や恒久的な地中貯留(CCS)への道筋も確保している。
今回の資金調達により、同社は次世代DACユニットの製造能力を拡大し、北米・欧州・アジアでの商業展開を強化する。また、エンジニアリングや導入チームの増員も進める予定だ。
投資元のChris Larsen氏(Larsen Lam財団創設者)は、「Aircaptureの技術は、商業的実用性と気候変動対策の両立を実現しており、早期かつ大規模な展開が可能だ」と評価している。