7月22日、米国の農業テック企業、アグリキャプチャー(AgriCapture)が進める「水田メタン削減プロジェクト」が、カーボンクレジット格付け機関のBeZero Carbonから最高評価「A」を取得した。世界500件超のプロジェクトの中でもトップ10%に入る評価で、水稲分野では世界最高、米国の農業プロジェクトとしても過去最高の格付けとなった。
このプロジェクトは、アメリカ南部5州(アーカンソー、ルイジアナ、ミシシッピ、ミズーリ、テキサス)の926カ所の水田で、農家が環境にやさしいかんがい方法に切り替える取り組みだ。具体的には「間断かんがい(AWD)」や「畝かんがい」といった手法を導入し、メタンの排出を最大70%削減できるとされている。また、1カーボンクレジットあたり約30万ガロン(約114万リットル)の節水効果もある。
これまでに削減された温室効果ガス(GHG)は7万トン以上、節水量は約210億ガロン(約8億トン)にのぼる。これらの実績は、米国の認証機関であるクライメート・アクション・リザーブ(Climate Action Reserve)が農地ごとの詳細データを使って検証しており、カーボンクレジットの信頼性が担保されている。
今回の「A」評価は、BeZero Carbonが農業分野で格付けした中で初めて。特に「土壌強化プロトコル」に基づくプロジェクトでは唯一の快挙だ。これは、カーボンクレジットの質が高く、実際の環境効果が明確であることを示している。
アグリキャプチャーは、農家が持続可能な農法に切り替えられるよう技術や資金面でサポートしており、農業を通じて温暖化対策を進めながら、新たな収益源も提供している。
今回の評価を受けて、同社の発行するカーボンクレジットは市場での信頼性がさらに高まり、企業や自治体による購入も進むと見込まれる。
参考:https://agricapture.com/agricapture-receives-an-a-rating-from-bezero-carbon/