アフリカ開発銀行(AfDB)は5月下旬、コートジボワール・アビジャンで開催された年次総会において、カーボンクレジット市場の発展を目的とした「アフリカ炭素支援ファシリティ(ACSF)」の創設を発表した。高官級会合では、アフリカが世界の気候変動資金における新たなリーダーシップを担う可能性について議論が交わされた。
ACSFは、各国政府の炭素取引政策の整備支援、カーボンクレジットの需給促進、関連インフラの構築を通じ、アフリカ全体で気候ファイナンスの拡充を図る。同ファシリティは、アフリカ連合のカーボンクレジット市場戦略と連携し、信頼性の高いカーボンクレジット市場の創出を目指している。
会合の冒頭で、AfDBのケビン・カリウキ副総裁は「今ここは、アイデアと行動、原則と政策、資金とアフリカの未来が交差する場だ」と語り、イニシアチブの意義を強調した。続いて、損失と被害対応基金のイブラヒマ・シェイク・ディオン事務局長は、「炭素市場は気候レジリエンスと経済的機会の創出に資する」と述べ、グローバルな協調の必要性を訴えた。
国連アフリカ経済委員会(UNECA)のハナン・モルシ博士は、収益が地域社会にも波及する仕組みの構築を提言し、国家開発計画への統合の必要性を指摘した。
同イベントでは、アフリカ開発銀行の新総裁として、モーリタニア出身のシディ・ウルド・ター博士が選出されたことも併せて発表された。ター氏は「今すぐにでも仕事に取りかかる」と意欲を示し、気候ファイナンス分野でのリーダーシップを強化する意向を明らかにした。
今回の対話は、アフリカが自らの自然資本を活用し、カーボンクレジット市場を通じて持続可能な成長を遂げるための新たな一歩として注目される。
参考:https://am.afdb.org/en/news/high-level-dialogue-spotlights-africas-bold-ambitions-carbon-markets