ブロックチェーンでERPAをトークン化 ACXがACXRWAを立ち上げ

村山 大翔

村山 大翔

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環境商品取引所大手のACX(エアカーボン・エクスチェンジ)グループは、気候変動対策プロジェクトへの資金動員を加速させる新プラットフォーム「ACXRWA」を正式に立ち上げた。ブロックチェーン技術を活用し、排出削減購入契約(ERPA)をデジタル化・トークン化することで、炭素除去(CDR)や再生可能エネルギーなど実世界資産(RWA)型の気候ソリューションへの投資を開放する仕組みである。

ACXRWAは「フューチャー・カーボン・トン(FCT)」と呼ばれるデジタル証券を発行し、カーボンクレジットの将来供給を裏付けにした取引を可能にする。これにより、価格の透明性や流動性が高まり、小口投資家も参加可能となる。世界で年間9兆ドル(約1,350兆円)以上が必要とされる気候資金ギャップを埋めることを狙う。

初の上場案件は、ブラジルでバイオエネルギー炭素回収・貯留(BECCS)を手掛けるEBEX社である。同社は23億トン以上の地質学的CO2貯留能力を有し、サトウキビ由来のバイオエタノール工場群から発生する高純度CO2を活用する。2027年第1四半期から高品質なカーボンクレジットを発行できる見通しで、ACXが独占的な販売権を持つ。

ACX共同創業者兼共同CEOのウィリアム・パゾス氏は「ACXRWAの目標はシンプルだ。気候危機が要求するスピードと規模で資本を解放することだ」と述べた。また、共同CEOのトーマス・マクマホン氏は「我々はオンチェーン資産の最適活用と、環境市場におけるプロジェクト金融の標準化を両立させた」と強調した。

ブラジル法人のカルロス・マルティンス取締役は「ブラジルは豊富な資源と技術革新により、世界的な気候ソリューションで重要な役割を担う。ACXRWAを通じて、国際資本を直接炭素除去プロジェクトに結び付けられる」と語った。

ACXRWAは今後、独自トークンを発行する「トークン生成イベント(TGE)」を実施し、資金調達と同時にACXエコシステム内での決済・利用の基盤とする計画である。ACXはすでに4年連続で「世界最高のカーボン取引所」に選ばれており、今回の取り組みでデジタル気候経済の基盤を築くことを目指す。

参考:https://acx.net/media-release/acx-to-launch-acxrwa/