Abaxx Exchange、カーボンクレジット先物初納品を実施 CORSIAクレジット取引の新時代へ

村山 大翔

村山 大翔

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シンガポール拠点のAbaxx Exchangeは、2025年5月、CORSIAフェーズ1に対応したカーボンオフセット先物の初納品を完了した。Mercuria Energyと米国拠点の買い手との間で成立したこの取引は、同取引所が提供する現物受渡型カーボン先物市場の機能を初めて実証したもので、今後の価格形成・リスク管理・脱炭素投資の促進に向けた新たなステップと位置付けられている。

今回納品されたのは、「May 2025 CP1(CORSIA Phase 1 Carbon Offset Unit Futures)」の50ロット(tCO2eあたり24.25ドル)で、排出削減単位の買い手への登録口座への引き渡しまでが完了。清算・決済・実納品までの全工程が、Abaxx独自の規制準拠型マーケットインフラ上で完結したことが注目点だ。

この取引では、Mercuria Energyが売り手となり、Eagle Commodities(Marex傘下)が取引執行を担当。KGI証券をはじめとする複数の清算業者が参加し、信頼性ある市場取引を支えた。Abaxx側は、「環境資産に投資可能性を持たせるために必要な機能が稼働した」とコメントしており、カーボンクレジットマーケットの金融商品化における重要なマイルストーンとされている。

CORSIAは、航空業界向けの排出オフセット制度であり、今回のCP1契約は2024年6月にローンチされた物理納品型の炭素先物商品の一部。取引所の透明性、規制順守、現物の裏付けが重視される中で、AbaxxはLNG、カーボン、電池素材、貴金属など幅広い分野で商品拡充を進めている。

Abaxx TechnologiesのAlasdair Were氏(環境市場部門責任者)は、「価格指標やリスク管理ツールとしてのカーボン先物は、クレジット需要側と供給側をつなぐ投資ハブの要となる」と述べ、スマートでサステナブルな市場形成の必要性を強調した。

今後、Abaxx Exchangeは、カーボンクレジットマーケットにおける流動性と価格発見機能の向上、金融・商業的な標準の確立を目指して、他分野との統合やグローバル展開を加速する構えである。

参照:https://www.investors.abaxx.tech/abaxx-announces-first-carbon-futures-delivery-on-abaxx-exchange