サンフランシスコ気候週間で発表/高品質クレジット×オフテイク契約×保険の一体型モデルで、市場の信頼を獲得へ
バイオマス由来のCDRが、次なる“信頼できる”クレジット市場の主役になるかもしれない。
米Residual社とカーボンクレジット認証機関Puro.earthは、2025年4月に開催された「サンフランシスコ気候週間」にて、バイオチャーや森林再生(ARR)を軸にしたバイオマスCDRを加速させる戦略的パートナーシップを発表した。
この提携によりResidualは、Puro.earthの公式プロジェクト開発パートナーとなり、「Puro Standard」認証の下で高品質なCO2除去証明(CORCs)を発行。同時に、Residualはカーボンクレジット格付け、リスク保険、長期オフテイク契約をプロジェクト設計段階から統合することで、市場におけるプレミアム・クレジットの提供を目指す。
Residualの単なる認証以上の「市場戦略設計」
Residualは、Microsoft、Google、JPMorganなど、世界的なクレジット購入企業に対してCDRの格付け評価・リスク分析・保険設計を支援してきた実績を持つスタートアップ。
今回のパートナーシップでは、CDRプロジェクトの設計初期段階から、認証、オフテイク契約、ファイナンス戦略に至るまでをワンストップで提供する体制を構築。CDRクレジットの「売れる化」支援に特化している点が他社との大きな違いだ。
共同創業者のTed Christie-Miller氏は、「プロジェクトの中核にリスクインテリジェンスを据えることで、プレミアム価格での流通と長期信頼を担保できる」と語る。
認証側のPuro.earthも明確な期待
Puro.earthのTrenton Spindler成長責任者(CGO)は「我々はCORC(CO2 Removal Certificate)の発行にとどまらず、“真に意味ある気候インパクト”を現実化させようとしています。Residualとの連携により、より高度で検証可能なプロジェクトを生み出せると確信しています。」とコメントしている。
この提携は、バイオチャーやBECCS、森林再生(ARR)などを活用した生物由来のCDRプロジェクトに携わるすべての開発者にとっての“招待状”でもある。Puro認証によるクレジット設計、販売チャネルの確保、ファイナンス導入など、多様な支援メニューが用意されている。
ResidualとPuro.earthの提携は、「炭素除去の信頼性」と「ビジネスとしての収益性」を両立させる模範となる。今後、Puroの認証済みCORC市場を通じて、こうしたプロジェクトが“信頼できるクレジット”の中核的供給源となる可能性は高い。

