英国で農場のCO2削減をカーボンインセットとして認証 排出削減の早期収益化を実現

村山 大翔

村山 大翔

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英国ハートフォードシャーで7月4日に開催された再生型農業イベント「Groundswell」で、環境資産運用会社Beyond Zero(ビヨンド・ゼロ)が農場向けの新プログラム「Transition to Net Zero Insets」を発表した。

この取り組みでは、農場や土地所有者が温室効果ガス(GHG)の排出削減や炭素除去(CDR)、生物多様性の回復に取り組むと、その実績を「カーボンインセット」として企業に販売できるようになる。Beyond Zeroは「ネットゼロを達成してからではなく、行動を起こした今の段階で収益化できるのが特徴だ」と説明している。

プログラムは英国炭素行動規範(UKCCC)に準拠し、活動内容はデジタルポータルで管理される。参加農場は5年間の排出削減と炭素除去の計画を結び、Beyond Zeroが毎年進捗を確認する。

企業側はこの仕組みを活用し、農場の排出削減分をサプライチェーン全体の排出量のScope3削減に活用できる。農場が一定の排出削減を達成すると高品質クレジットとして正式なカーボンクレジットを発行できるようになる。

資金面では、農業専門銀行Oxbury Bank(オックスベリー銀行)と提携し、「Oxbury Transition Facility」を通じて炭素関連融資を受けられる体制も整えた。これにより、農場は脱炭素や再生型農業への移行資金を確保しながら、気候変動対策を進められる。

Beyond Zeroの最高経営責任者(CEO)、ヴァイバフ・カディカル氏は「このインセットで農家がすぐに気候行動を収益化できる実践的な仕組みを提供する」と述べた。

Beyond Zeroは来年7月に進捗報告を予定しており、英国での脱炭素農業の普及をさらに後押しする方針だ。

参考:https://www.linkedin.com/posts/beyondzeroag_beyond-zeros-transition-to-net-zero-insets-activity-7346156938658738177-5zn1