米エネルギー企業のジーヴォ(Gevo)は7月29日、ノースダコタ州のエタノール工場で実施している二酸化炭素回収・貯留(CCS)プロジェクトから、初めての炭素除去(CDR)由来のカーボンクレジットを販売したと発表した。購入したのは、グローバルな金融企業で、Scope3の出張によるCO2排出のオフセットに活用されるという。カーボンクレジットはPuro.earthの認証を受けており、「1,000年以上の長期保存」が保証されている。
このCCS施設では、発酵工程で発生するバイオ由来CO2を地下深くに永久保存しており、年間最大で100万トンのCO2を大気に放出せずに封じ込めることが可能だ。ジーヴォは、こうしたCO2削減効果を「見えるかたち」にすることで、信頼性の高いカーボンクレジットを市場に供給している。
ジーヴォの事業開発責任者アレックス・クレイトン氏は「私たちのカーボンクレジットは、厳格な審査基準を通過しており、顧客は安心して活用できる」と語った。
CDR由来のカーボンクレジットは、ボランタリーカーボンクレジット市場(VCM)において需要が急速に拡大している分野だ。今回の取り組みは、再生可能燃料の開発とあわせて、ジーヴォの脱炭素戦略の柱となる。
認証機関Puro.earthのトレントン・スピンドラー氏も「長期間のCDRはもはや未来の話ではない。Gevoはすでに実現している」と述べた。
ジーヴォはこのほかにも、再生可能天然ガス(RNG)やジェット燃料の原料となるATJ(アルコール・トゥ・ジェット)燃料の生産施設を運営。炭素の移動を可視化する独自の追跡システム「Verity」も導入しており、透明性の高い脱炭素事業を展開している。