海運大手のスワイヤー・シッピング(Swire Shipping)は14日、貨物の輸送時に発生する温室効果ガス(GHG)の削減実績を、荷主企業が自社の脱炭素活動として報告できる新サービス「Voyage to Zero(ボヤージ・トゥ・ゼロ)」を開始した。
発表はフィジーの首都スバ港で行われ、同社の貨物船「MV Apia Chief」の船上で式典が開かれた。フィジー環境・気候変動相モセセ・ブリタヴ氏も参加し、正式にプログラムをスタートさせた。
「自社排出量」にできるカーボンインセッティングとは?
通常のカーボンオフセットは、排出量とは関係のない森林保護などのプロジェクトに投資して相殺する。しかし、今回の「カーボンインセッティング」は物流の現場で実際に排出量を減らした実績を荷主が購入できる仕組みだ。
スワイヤーは、貨物船の燃料を廃棄物由来のバイオ燃料(B100)に切り替え、従来の重油と比べて84%のCO2排出を削減している。
その削減分を「データとして可視化・認証」し、荷主企業がScope3(物流など間接排出)削減として自社の脱炭素実績にできるようにした。
使い方は簡単、証明書も発行
- スワイヤーがバイオ燃料で運航し、削減量を算出
- 削減量は「Katalist(カタリスト)」という国際認証プラットフォームに登録
- 荷主企業は、スワイヤー便で運ばなくてもこの削減分を購入できる
- ISO認証済みの証明書(CO2削減クレジット)を受け取り、自社の脱炭素報告に活用可能
すべてのデータは第三者機関が検証しており、信頼性が高い。
多くの企業は、国際物流に伴うScope3排出量の削減が課題になっているが、自社で直接改善するのは難しい。
今回のスワイヤーの仕組みは、「輸送時のCO2削減実績を自社の脱炭素成果として報告できる」ため、サプライチェーン全体の脱炭素に取り組む企業にとって有効な手段となる。
今後、スワイヤーはアジア太平洋地域にも同様のサービスを拡大する方針だ。
参考:https://www.swireshipping.com/information/info-pages/sustainability/voyage-to-zero/