カナダ政府、東部3州に約22億円支援 「再生エネ+炭素回収」で地域脱炭素へ

村山 大翔

村山 大翔

「カナダ政府、東部3州に約22億円支援 「再生エネ+炭素回収」で地域脱炭素へ」のアイキャッチ画像

カナダ政府は7月11日、東部のプリンスエドワードアイランド州、ノバスコシア州、ニューブランズウィック州で、再生可能エネルギーと炭素回収(CCS)技術を拡大するため、約22億円(1,600万カナダドル)を投資すると発表した。

今回の支援は、電力網(グリッド)の強化や、風力・太陽光発電の拡大、工場などで出るCO2を回収する技術の開発、そして先住民や地方コミュニティのエネルギー自立を後押しするプロジェクトに使われる。

エネルギー・天然資源省のティム・ホジソン大臣は「カナダをクリーンエネルギーと従来型エネルギーの両方で世界をリードする国にしたい」と語り、経済成長と気候変動対策を両立する方針を示した。

プリンスエドワードアイランド州のジル・アルセノー環境・エネルギー相は「電力網をもっと強く、効率よくするための重要な一歩だ」とコメント。ニューブランズウィック州のルネ・レガシー・エネルギー相も「州のエネルギー改革にぴったりの支援だ」と歓迎した。

今回の投資は、再生可能エネルギーだけでなく、炭素回収(CCS)技術も支援対象だ。工場などから出るCO2を地中に閉じ込めることで、地域の産業を守りながら脱炭素を進める「並行アプローチ」を採用している。

カナダ政府は、これまでアルバータ州にも約30億円を投じて炭素回収・利用・貯留(CCUS)技術を支援しており、今回の東部支援はその拡大版だ。

背景には、国全体で2030年までに温室効果ガス30%削減、2050年ネットゼロ達成を目指す方針がある。CCUS投資への税制優遇など、政府は総額約430億円規模の技術開発支援を行っている。

今回の支援は、3州が参加する「地域エネルギー会議」で話し合われ、優先案件として決まった。今後も、規制緩和や追加投資について議論が続く。

参考:https://www.canada.ca/en/natural-resources-canada/news/2025/07/government-of-canada-invests-in-renewable-energy-carbon-capture-and-grid-modernization-in-the-maritimes.html