7月17日、インドの炭素回収企業ガス・ラボ・アジア(GAS LAB Asia)とオーストラリアのエボ・エナジー・テクノロジーズ(Evo Energy Technologies)が、CO2排出を大きく減らす技術の普及を目的に提携した。対象地域はオーストラリアとニュージーランドで、発表はメルボルンで開かれた「Carbon Capture APAC Summit 2025」で行われた。
この提携により、セメント、鉄鋼、発電、廃棄物発電、石油・ガスといったCO2の排出が多い産業で、炭素回収・利用・貯留(CCUS)の導入が加速すると期待される。バイオマスやバイオガスから出る自然由来のCO2も回収対象に含まれる。
ガス・ラボ・アジアは、CO2を分離・回収する装置を60年以上手がけてきた企業で、世界中に納入実績がある。オーストラリアのEvo Energyは、再生可能エネルギーや熱の再利用技術に強みを持つ会社で、今回の提携で現地の導入支援を担当する。
ガス・ラボ・アジアのケシャヴ・ゴエラ取締役は「この提携は、インドの技術とオーストラリアの意欲を結びつけるものだ。業界がCO2を出すのではなく、活用できるように支援する」と述べた。
ガス・ラボ・アジアの装置は、農業(CO2による作物の成長促進)、水の再処理、飲料製造、ドライアイス製造など、すぐに役立つ分野でのCO2利用を想定している。これらはグリーン水素を使わずにすぐに収益を生む用途で、早期に普及が見込まれる。
さらに、将来的には回収したCO2を、e-メタノールやSAF(持続可能な航空燃料)など、船や飛行機の脱炭素燃料にも使えるよう準備を進める。
エボ・エナジーのトラヴィス・マクニールCEOは「GAS LABの技術を組み合わせることで、排出削減に悩む企業に包括的な支援ができるようになる。地域の雇用や供給網の強化にもつながる」と語った。
両社はまず実証プラントを立ち上げ、その後商業規模の導入を進める方針。これにより、オーストラリアの「ネットゼロ(実質排出ゼロ)」目標の実現を後押しし、アジア太平洋地域でのCCUSの連携強化にもつなげたい考えだ。
参考:https://www.ssgaslab.com/press-release-strategic-alliance-evo.html