米CDR企業のキャプチャーシックス(Capture6)は7月25日、認証機関のIsometric(アイソメトリック)と提携し、オーストラリア西部で進めるパイロット施設「プロジェクト・ワラビー」から発行する炭素除去(CDR)由来のカーボンクレジットを市場に提供すると発表した。
この提携により、Isometricが開発した「DACプロトコル」に基づいて、除去されたCO2の量を厳密に測定・検証しながら、カーボンクレジットが発行される。管理には、同社の追跡システム「Certify」が使われる。
プロジェクト・ワラビーは、キャプチャーシックスが豪エネルギー企業パイロット・エナジー(Pilot Energy)と共同で進める「Mid West Clean Energy Project(MWCEP)」の一部で、再生可能エネルギーと塩水を活用したDAC技術を使い、大気中からCO2を直接取り除くと同時に、淡水も生成する。

この技術は、海水淡水化施設や水処理施設に組み込める設計で、CO2除去と水資源の確保を両立できる点が特長だ。生成された水は飲用や農業、工業用途に使える。
2025年中にデモ運転を始め、2026年からは淡水や低炭素の化学品、高純度CO2の販売で収益化を目指す。将来的には、2028〜2029年に年間8万トン、2030年以降は年間35万トンのCO2を除去できる見通しだ。
キャプチャーシックスのCEO、イーサン・コーエン=コール氏は「Isometricの厳格な基準を通じて、高品質なDACクレジットを提供できる。地域に水の恩恵をもたらしながら、真の脱炭素に貢献したい」と述べた。
キャプチャーシックスは今年3月にも、テトラッド・コーポレーション(Tetrad Corp)主導で2,750万ドル(約43億円)の資金を調達しており、今回の提携は事業成長を加速するもう一つの大きな一歩となる。