7月25日、エクソンモービル・ベネルクス(ExxonMobil Benelux)はオランダ・ロッテルダムで、CO2を90%以上回収しながら電気や水素も生み出せる次世代の炭素回収・貯留(CCS)技術の実証プロジェクトを開始した。アメリカのフューエルセル・エナジー社と共同開発するこの「燃料電池型CCS」は、温室効果ガス(GHG)の削減とクリーンエネルギーの創出を同時に実現する技術として注目される。
この新技術は「炭酸塩型燃料電池(CFC)」を使い、工場の排ガスからCO2を直接取り出すと同時に、電気、水素、熱といったエネルギーも生産できる仕組みだ。従来のCCSでは、CO2の回収に多くのエネルギーを消費していたが、CFCは逆に発電できるのが特徴である。
今回の実証は、エクソンモービルのロッテルダム製造所で始まり、すでに基礎工事が着工された。同社のプロジェクト責任者メンノ・スパーンダーマン氏は「この日は単なる着工ではなく、世界中のチームや関係者への感謝の表れでもある」と語った。
CFCシステムはモジュール型で、さまざまな工場や発電所に合わせて柔軟に設置できる。研究室での実験では、天然ガスを使った発電の際に90%以上のCO2を回収しながら、追加の電力を生み出せることが確認されている。
このプロジェクトは、エクソンモービルが進める脱炭素化戦略の一環であり、EUを中心に進む排出規制の強化に対応する動きでもある。成功すれば、発電機能を持つCCSとして世界中の工場や発電所への展開が期待されている。
次の焦点は、この技術をどう商業化し、どのように費用回収するモデルを構築するかにある。規制や炭素市場と連動しながら、2026年以降の本格導入に向けた鍵となる。