ヤンマーエネルギーシステム株式会社とJAぎふは、グリーンイノベーション基金事業「食料・農林水産業のCO2等削減・吸収技術の開発」に基づき、「高効率もみ殻バイオ炭製造装置」の実証試験を開始しました。岐阜市のJAぎふ方県カントリーエレベーターに設置されたこの装置は、バイオ炭製造コストを約40％削減し、温室効果ガス排出量の抑制にも貢献することを目指しています。高効率バイオ炭装置でコスト削減とカーボンクレジット創出へ今回の実証実験は、2025年4月から2031年3月までの6年間実施予定です。この装置は、1時間あたり100kgのもみ殻から炭素残存率の高い30kgのバイオ炭を製造できる性能を持ち、製造コストを1トンあたり3万円に抑えることを目指しています。従来技術比で約40％のコスト削減が期待されており、今後の全国展開にも大きな弾みとなります。さらに、化石燃料を使わずにバイオ炭を製造できるため、GHG排出量も低減。もみ殻燃焼時に懸念される発がん性物質「結晶質シリカ」の生成も抑制できる設計となっており、環境負荷を最小限に抑えた資源循環型農業の推進にも寄与します。全国50地区で栽培試験を展開、カーボンクレジット活用も視野この実験機で製造されたバイオ炭は、今後全国50地区以上での栽培試験に活用されます。地域ごとの気象条件や作物に応じた最適な施用法を確立し、農作物の単収向上と農地炭素貯留の両立を目指します。また、農地炭素貯留効果を活かしたカーボンクレジット創出や、バイオ炭活用農法による環境価値農産物のブランド化・販売促進も視野に入れた取り組みが進められます。JAぎふとの連携により、「地消地産」型農業と環境配慮型農業を融合させる新たなビジネスモデルの構築が期待されています。実証開始で加速する脱炭素農業イノベーション今回のプロジェクトは、ヤンマーグループの省エネ技術と農業分野の知見を結集したものであり、2050年カーボンニュートラル達成への重要なステップと位置付けられています。バイオ炭による炭素貯留と農業生産性向上の両立により、国内外で注目されるモデルケースとなる可能性も高いでしょう。参照：https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000311.000034384.html