ベトナム民間航空局(CAAV)は、国際航空の排出量削減制度「CORSIA」に2026年1月1日から正式に加盟することを決め、国際民間航空機関(ICAO)へ登録を完了したと、ICAOが7月2日に発表した。CORSIAは、国際線の排出量増加分をカーボンクレジットの購入などでオフセット(埋め合わせ)し、航空業界の排出量を実質ゼロに近づける国際的な枠組み。2026年までは任意参加の期間で、2027年以降は排出量の多い国に義務化される予定だ。ベトナムは排出量削減に向けた準備として、燃料使用量やCO2排出量を管理する仕組みを導入し、過去の排出データもICAOへ提出している。また、欧州連合(EU)のルールも参考にしながら、持続可能な航空燃料(SAF)の活用にも取り組んでいる。CORSIA参加によって、ベトナムの航空会社は年間約20億円〜146億円(1,300万ドル〜9,200万ドル)規模のカーボンクレジット購入費用が発生する見込みで、航空会社の経営負担が課題となる。一方で、グリーン移行を進める機会にもなり、ベトナム国内でのカーボンクレジット市場の成長も期待される。国営ベトナム航空は2024年にシンガポールからハノイへの便でSAFを使った初の商用飛行を実施するなど、排出削減に向けた取り組みを始めている。CAAVは今後も航空会社や関連機関と協力し、カーボンクレジット購入の負担を減らす仕組みづくりや支援策を検討していく方針だ。