CO2回収・除去事業に最大180ドル/t CO2の支援継続、CCUS・CDR業界に安堵広がる米下院歳入委員会が2025年5月13日に公表した予算案草案において、カーボンキャプチャー・除去事業を支援する45Q税額控除制度が大幅に維持される方針であることが明らかになった。対象となるプロジェクトでは、用途別に1トンあたり60〜180ドルの税額控除が引き続き適用される見通しだ。45Qは、IRA(インフレ抑制法)による主要な気候対策の一つであり、特に共和党優勢地域でのプロジェクト推進に大きな役割を果たしてきた。草案では、45Qと水素関連の45Vクレジットを同一施設で併用することの制限や、外国影響下にある団体へのカーボンクレジット移転の禁止といった調整も盛り込まれたが、制度そのものは維持される形となった。共和党のスコット・ペリー議員と民主党のロ・カンナ議員が3月に提出した「45Q撤廃法案」の存在や、トランプ政権下でのクリーンエネルギー支援縮小の動きもあり、業界には不安が広がっていたが、今回の草案は一定の安心材料となっている。同制度の恩恵を受けるのは、テキサス、ルイジアナ、ワイオミングといった州が中心で、これらの州ではCCUSを新たな産業成長の軸と位置付ける動きが加速。CCUSは既存の石油・ガス企業にとっても、CO2利用や地中貯留を通じた収益多角化の手段として期待されている。一方で、クリーンエネルギーやEV、住宅省エネなどIRAによって成長してきた他分野では、2031年までの補助金段階的廃止が提案されており、大きな影響が懸念される。共和党の一部議員は自選挙区への悪影響を理由にこうした撤廃に反対の姿勢を示している。今回の草案は、カーボンマネジメントに追い風となる一方、再エネ分野への逆風を伴うものであり、最終採決までの修正次第で今後のクリーン技術支援の全体像は大きく変わる可能性がある。参照:https://waysandmeans.house.gov/wp-content/uploads/2025/05/The-One-Big-Beautiful-Bill-Section-by-Section.pdf