(画像出典:https://unfccc.int/news/key-rules-agreed-for-credible-climate-project-crediting-under-un-carbon-market)国連のカーボンクレジット監督機関は16日、ドイツ・ボンでの会合において、パリ協定下の新たなカーボンクレジット制度「パリ協定クレジットメカニズム(PACM)」に関する重要な2つの基準を正式に採択した。これにより、同制度で発行されるカーボンクレジットの信頼性向上が期待される。今回採択された基準のひとつは、プロジェクトがなければ排出されていたと想定される温室効果ガス(GHG)量、いわゆる「ベースライン」の設定方法である。具体的には、プロジェクト前の排出量を現状より10%低く設定する初期調整を義務づけ、さらにすべての方式で年1%以上の継続的な引き下げを求める内容となっている。これにより過大評価の抑制と排出削減努力の持続が見込まれる。もうひとつの基準は、プロジェクトによって他の場所で発生する可能性のある予期せぬ排出増「カーボンリーケージ」の取り扱いに関するものだ。これは、プロジェクト開発者がすべての潜在的な排出源を特定する指針を提供し、特にREDD+プロジェクトは国家戦略との整合性が求められる。さらに、今回の会合では、PACMの運用に向けた制度構築支援やホスト国との利益分配のあり方についても議論され、関連プロジェクトへの移行措置として調理用ストーブ事業に関する方針も更新された。監督機関のマーティン・ヘッション議長は「パリ協定のネットゼロ目標に整合するカーボンクレジット基準の確立は画期的な一歩」と述べ、ホスト国との連携強化にも意欲を示した。今後、PACMの最初の方法論は年内に承認される予定であり、新制度下でのプロジェクト形成が2026年以降本格化する見通しである。短期的にはCDM(クリーン開発メカニズム)からの移行件数が予想より少なく、資金面での課題も残されているが、制度の本格稼働に向けた準備が着実に進んでいる。参考:https://unfccc.int/news/key-rules-agreed-for-credible-climate-project-crediting-under-un-carbon-market