米シンクタンクRMIは、CDR(炭素除去)技術を「炭素の流れ」で整理する新しい分類手法を提案した。既存の「空気・海洋・陸地」といった分類に対し、CO2分子の挙動を軸に、捕集・処理・貯留の3段階に基づいてCDR技術を再整理するアプローチで、技術間の共通性と違いをより直感的に理解できる構造となっている。「炭素の旅」を可視化する分類法、CDRの実装・評価に新視点RMIが提唱した新分類法は、従来のCDR分類と一線を画し、CO2の分子単位での挙動に注目する。「捕集(capture)」「処理(process)」「貯留(storage)」という3ステップで、各CDR技術の作用点を明示し、技術が炭素循環のどのフェーズで機能するのかを視覚化したフローチャート(炭素の旅路)を提示した。この構造により、たとえば「バイオ炭」は植物由来の炭素を熱分解で処理し、固体炭素として土壌に固定する技術だが、その中心的な特徴は「処理」ステップにあることが一目でわかる。また、森林吸収などと同じ捕集プロセスを共有しながら、最終的な貯留形態が異なる点も整理しやすくなる。既存のCDR分類との統合も視野に 技術選定や政策設計の支援へ従来用いられてきたXPRIZE由来の分類(空気・海洋・陸地・岩石)や、RMI自身が過去に提案した「入力源別分類(バイオ、地球化学、合成)」などと比べ、新手法は技術間の重複・連携可能性の把握に優れている。たとえば、地上バイオマスと海藻由来炭素を「同じ捕集手法」として整理することができ、技術間のインフラ共有や政策支援設計にも応用が期待される。RMIは、今後この手法を活用し、CDR関連の資源分配、資金流動、政策優先順位の見直しに貢献するとしており、業界関係者・政策立案者・研究者に向けた活用を促している。持続可能なCDR成長へ 可視化による合意形成ツールとしても活用RMIは本手法を「排他的な分類」ではなく、あくまで多様なCDR観点を補完する新たなレンズと位置付けており、既存の分類法と並存させることを提案している。今後、炭素除去分野における研究開発(RD&D)、政策設計、民間資金誘導の戦略立案において、こうした可視化ベースの理解促進ツールは重要性を増すと見られる。参照:https://rmi.org/following-the-carbon-a-new-lens-on-the-carbon-dioxide-removal-ecosystem/