脱炭素と再産業化の融合、米南部に広がるスタートアップ主導の再構築モデルグローバルなベンチャープラットフォームNewlabが、ルイジアナ州ニューオーリンズに新たなイノベーションハブを開設すると発表した。ニューヨーク・ブルックリンとデトロイトに続く米国内3番目の拠点であり、エネルギー転換と経済再活性化を目的とした大規模なパブリック・プライベート・パートナーシップによって実現した。旧海軍施設を「脱炭素テックの拠点」へ再生新拠点は、2011年まで米海軍の物流拠点として使われていた「Naval Support Activity(NSA)」跡地に整備される。開発は地元のEMDRC Partnersが担当し、ルイジアナ経済開発局(LED)やルイジアナ州立大学(LSU)、Shell、FUEL(NSF支援のエネルギー研究拠点)などが連携する。ハブには実証スケールの装置組立・前工程を行うための産業用スペースが併設され、スタートアップが新技術を迅速にフィールド展開できる体制が整備される。さらに、州内各地に「実証サイト+レギュラトリー・サンドボックス」のネットワークを構築し、制度と現場の両輪でスタートアップ支援が行われる。注力分野①:低炭素産業のインフラ整備ニューオーリンズのNewlab拠点では、以下3つの重点分野においてスタートアップの誘致・支援を行う。産業用電力・脱炭素電化:水素、再エネ、核融合などカーボンマネジメントとCO2利活用:CDR、CCS、CCUSなど海運・港湾の気候対応:代替燃料・省エネ設備、港湾インフラの近代化、船舶運用の効率化この3分野は、いずれもニューオーリンズおよびルイジアナ州の既存産業・インフラと密接に結びついており、既存資産を再定義する「再産業化」の方向性とも一致している。州・自治体・大学・企業の連携で実現この取り組みは、DOE(米エネルギー省)支援のプロジェクトを通じてすでに実績を重ねており、例えばCO2パイプラインの再利用を行うArculus Solutionsや、回収技術を展開するMantel CaptureなどがNewlabの支援を受けて州内展開を進めている。ルイジアナ州立大学のトゥイリー副学長は「NSF史上最大のFUEL助成がNewlab誘致の原動力になった」と語り、州政府と大学・産業界の連携による研究・実装・商業化の循環モデルが構築されつつあることを示唆している。南部から世界へ。次世代エネルギーエコシステムの拠点Newlab CEOのデビッド・ベルト氏は、「ルイジアナには、エネルギーインフラ・人的資源・商業化経験の3拍子がそろっている」と述べ、同州が全米でも有数の脱炭素テクノロジーの成長土壌であると強調した。本拠点は、単なるスタートアップの活動拠点ではなく、州全体の技術基盤強化・産業多様化・人材育成の触媒となることが期待されている。参照:https://www.opportunitylouisiana.gov/news/newlab-expands-to-louisiana-with-new-energy-focused-innovation-hub