ネガティブエミッション・プラットフォーム(NEP)は7月14日、世界の炭素除去(CDR)市場を広げるための「政策ツールキット」を発表した。CDRデータサイト「CDR.fyi」と、フランスネガティブエミッション協会(AFEN)と共同で作成したもので、各国の政府や資金提供機関に向けた具体的な政策案をまとめている。このツールキットは、CDRの先進国での経験を参考にしながら、2030年代に「メガトン単位」の大規模CDR実現を目指す内容だ。短期的な実行と長期的な資金の約束を両立させることで、企業の投資を呼び込み、技術のコストを下げていく考えだ。対象となるCDR技術は、海洋でのCO2吸収、森林や土壌を使った吸収、地下貯留など多岐にわたる。技術を偏らせず、多様な方法を同時に支援することで、環境への悪影響を避けながら社会的なメリットも広げていく。政策面では、CDR事業への融資や税優遇など「供給側」の支援と、先渡し契約や購入保証など「需要側」の施策が両方必要だと提言した。これにより、企業は投資しやすくなり、市場全体が拡大するとしている。また、CDRを国や地域の排出削減義務や市場制度に組み込むことも重要だと指摘した。導入の流れとしては、まず各国が自国のCDR技術の可能性を調査し、企業や関係者と協議。その上で、実証実験やパイロット事業への助成金を出し、規制の見直しを進める。NEPは、CDR産業が欧州だけでも2035年までに約18万人の雇用を生む可能性があると試算している。NEPは「気候変動対策と経済成長を両立するため、CDRの拡大は不可欠だ」と強調した。参考:https://static1.squarespace.com/static/5efb3fdb6553ba09535cfe81/t/686d0cbdec156128137b5b2f/1751977153950/NEP+policy+toolkit+incentivising+CDR.pdf