英国のMission Zero Technologiesは5月2日、同国ノーフォークで、「建材製造と統合された世界初のDAC(Direct Air Capture)実証プラント」の稼働を発表した。年間250トンのCO2を回収し、O.C.O Technologyが製造する石灰岩の原料として活用される。Mission Zero Technologiesの新プラントは、英国・エネルギー安全保障・ネットゼロ省(DESNZ)の支援を受け、炭素除去と産業活用を同時に実現するモデルとして注目される。回収されたCO2は、O.C.O Technologyの建材製造ラインにそのまま投入され、炭素を安定固定したカーボンネガティブな建設用石灰岩となる。この建材は、コンクリートブロックや煉瓦、タイルなど多用途での使用が可能であり、長期的なCO2貯留効果を持つカーボンシンクとしても機能する。MZTのCEOであるニコラス・チャドウィック博士は、「建設業界は世界の排出源の中でも特に大きい。炭素を吸収する建材づくりは業界変革の鍵」と述べている。本プロジェクトは、2023年に発表された英国初の商用DACプラント(シェフィールドでのSAF向け)に続く第2フェーズであり、MZTにとっては3件目のDACシステム展開となる。さらに、カナダ・アルバータ州でのDeep Sky Labsとの共同プロジェクトも進行中だ。関連記事:ClimeFi、カナダ「Deep Sky Alpha」DACハブに初のアナリストレーティング付与 最高評価を獲得このようにMZTは、CDRとCCUの両市場を対象としたポートフォリオを確立しつつあり、英国発のクライメートテック企業としての存在感を高めている。なお、同社は「市販部品」と「既存サプライチェーン」を活用した低コスト・高展開性のDACシステムを開発しており、英国政府のGHG Removal Competitionで初期採択された数少ない企業の一つである。参照:https://www.missionzero.tech/lab-notes/our-second-direct-air-capture-plant