マイクロソフトは、米森林投資会社EFMと複数年にわたるカーボンクレジットの購入契約を締結した。契約は、ワシントン州の森林地帯を活用した最大70万件のカーボンクレジットのオフテイクと、EFMの森林ファンド「Fund IV」への投資から成る。両者はこの提携を通じて、自然資本に基づく信頼性の高い気候解決策の拡大を目指す。マイクロソフトが今回契約したのは、EFMが新たに取得したワシントン州オリンピック半島の森林地で生成される最大70万件の自然由来CDRクレジットの購入。供給期間は2035年までとされており、商業伐採中心だった土地を「気候スマート林業」へと転換し、サステナブルな森林管理を軸とした新たな収益モデルを創出する。同時に、マイクロソフトのClimate Innovation Fund(CIF)は、EFMの「Fund IV」に出資。これは、全米での森林取得と高品質な森林管理型CDR生成を目的とする465億円規模のファンドで、マイクロソフトとしては米国内初の森林分野への出資となる。Fund IVを通じ、将来的にさらに230万件の高品質クレジット創出が見込まれている。この投資により、EFMは森林の収益源を炭素クレジットや保全活動に多様化。地域経済の活性化や生態系保全の同時達成を図る。また、商業伐採によって劣化した森林に対し、伐採影響の軽減、樹齢の延長、選択伐採の導入といったImproved Forest Management(IFM)の手法を導入し、炭素固定量の最大化と森林の健全性回復を推進する。マイクロソフトのブライアン・マーズ氏(エネルギー・CDR担当ディレクター)は、「IFMを活用することで、最新の科学的知見に基づいたCDRを実現できる」と述べた。CDRの質向上に向けて、同社はベースラインの設定においても保守的な手法を採用し、カーボnクレジットの過大算定を防ぐと強調している。EFMにとっては、先月のMetaとのCDR契約に続く大型提携であり、これにより米国内の森林を活用したCDRプロジェクトが注目を集める可能性がある。関連記事:MetaとEFMが森林炭素プロジェクトで提携 2035年までに67万件超のクレジット創出へ関連記事:双日、EFMと米国で森林ファンド設立 カーボンクレジット創出を通じ脱炭素事業を加速参照:https://efmi.com/efm-signs-deal-with-microsoft-for-purchase-of-nature-based-carbon-removals-and-fund-investment