米金融大手JPモルガン・チェース(JPMorganChase)は24日、炭素除去(CDR)技術の実用化を支援するため、カーボンキャプチャー企業ワンポイントファイブ(1PointFive)から今後10年間で合計5万トンのCDRクレジット(カーボンクレジット)を購入する契約を締結した。米テキサス州に今夏稼働予定の直接空気回収(DAC)施設「STRATOS」から供給されるもので、JPモルガンの運用排出量削減に活用される。関連記事:世界最大のDAC施設「STRATOS」、CO2地下貯留許可を米環境保護庁が承認契約対象のSTRATOS施設は、米国で最初期に商業稼働するDAC拠点の一つで、大気中から直接CO2を回収し、地下の塩水層に恒久貯留する技術を採用する。親会社オクシデンタル・ペトロリウム(Occidental Petroleum)の50年以上にわたる炭素管理の知見を活かし、ワンポイントファイブはDAC技術を気候変動対策インフラの柱に育てる計画だ。JPモルガンで運用部門の脱炭素化を統括するテイラー・ライト氏は「STRATOSの商業稼働開始に合わせ、大規模DAC展開を支援できることを誇りに思う。未削減の排出を相殺するこの契約は、当行の多様で高品質なCDRポートフォリオをさらに強化する」と述べた。ワンポイントファイブのマイケル・エイヴリー社長も「JPモルガンのような先進企業がDAC由来のカーボンクレジットを導入することで、技術開発や米国内でのインフラ投資が進む」と評価した。今回の契約は、同社が今年締結した大口オフテイクの一環。ワンポイントファイブは化学大手CFインダストリーズと年間230万トンのCO2貯留契約を25年間結び、英サッカークラブ・リバプールFCにもファングッズ由来の排出相殺としてCDRを供給している。マイクロソフト、アマゾン、エアバスなども過去に契約を結んだ。関連記事:リバプールFC、1PointFiveと共同で世界初のカーボン除去記念ユニフォーム発表 ワンポイントファイブは今年、米環境保護庁(EPA)からDAC由来CO2の恒久貯留に関する「Class VI」認可を初めて取得した。米連邦議会では現在、炭素回収・貯留(CCS)事業への支援策「45Q税額控除」の改正法案が審議中で、オクシデンタルも積極的にロビー活動を展開している。関連記事:テキサス州、CO2回収・貯留 井戸の規制権限取得に前進 米環境保護庁改正案では、地質貯留と石油増進回収(EOR)への支援額が統一され、DACに対する支払い水準も引き上げられる見通し。だが、インフレ連動の不備などリスク要因も残されている。可決の行方は今後のDAC拡大にも影響するとみられ、注目が集まっている。参考:https://www.1pointfive.com/news/1pointfive-announces-50000-metric-ton-carbon-removal-agreement-with-jpmorganchase