(画像出典:https://www.consilium.europa.eu/en/meetings/international-summit/2025/07/23/)7月23日に東京で開かれた第30回日・EU首脳会談で、両者は脱炭素社会に向けた協力を一段と深めることで合意した。カーボンプライシング制度の調整、炭素除去(CDR)技術の情報共有、そしてEUが導入する炭素国境調整措置(CBAM)への対応を軸に、国際的な足並みをそろえる方針が打ち出された。日本とEUは、2050年までに温室効果ガス(GHG)の排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」実現に向け、政策面での連携を強化する方針を示した。共同声明では、炭素に価格をつける「カーボンプライシング」制度について、国際的な整合性と透明性を高めるための協力を進めるとした。日本では2026年から排出量取引制度(ETS)が義務化される予定で、EUの炭素国境調整措置(CBAM)との制度調整が課題となっている。両者は、OECDやG7などの国際会議を通じてルールのすり合わせを図り、貿易摩擦の回避と公平な市場環境の確保を目指す。さらに、二酸化炭素を回収・貯留する「CCS」や、CO2を利用する「CCUS」といった炭素除去(CDR)技術の分野でも、知見や取り組みを共有していくことで合意した。これには技術の標準化や共同プロジェクトの可能性も含まれる。また、脱炭素社会を支える素材・部品のサプライチェーンについても、原材料のトレーサビリティ(流通履歴)確保や、低炭素製品への需要喚起といった点で協力を進める。特に、鉄鋼やセメントといった排出量の多い産業を対象に、「クリーンな製品市場」を国際的に育てる枠組み作りが進められる。日本は国内の「J-クレジット制度」の国際活用を視野に入れており、EUもパリ協定に基づく国際炭素取引(Article 6)を推進している。両者の制度が連携すれば、クレジットの相互利用が実現する可能性もある。さらに、海運業界の排出削減に向けた国際ルールづくりや、クリーン水素のサプライチェーン強化なども共同で進められる予定だ。参考:https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/da/statement_25_1890