出光興産は、CDR(炭素除去)領域に特化したベンチャーキャピタル「Carbon Removal Partners – Systemic Ventures I SCSp」への出資を発表した。脱炭素社会の実現に向け、同社は欧米の先進技術やカーボンクレジットマーケットとの連携を深め、CDR技術の社会実装を戦略的に推進する構えだ。出光興産は、スイス拠点のCDR領域特化のベンチャーキャピタル「Carbon Removal Partners」が運営するファンドへの出資を通じ、DAC(Direct Air Capture)やBiCRS(Biomass with Carbon Removal and Storage)、岩石風化(Enhanced Rock Weathering)といったCDR技術の支援に乗り出す。出資は、100%子会社の出光アメリカズホールディングス(米国)を通じて実施される。ファンドは欧米の有望スタートアップに対し、MRV(測定・報告・検証)技術やカーボンクレジット創出支援も含めた包括投資を行っており、科学的信頼性に基づく選定が特徴だ。出光はこの出資を通じて、CDRマーケットの先進国である北米における技術動向の把握と実証フィールドの拡充を狙う。投資先には、世界最大のDAC施設「Mammoth」を運用するClimeworks(スイス)、製紙工場での排出ガス回収を進めるCO280 Solutions(カナダ)、再生可能エネルギー由来のDAC技術を開発するGreenlyte(ドイツ)などの有望スタートアップが含まれる。関連記事:商船三井、Climeworksと提携し海運業界初のCDR契約 DACによる1.34万トンのCO2除去を2030年までに実施関連記事:マイクロソフト、CO280と370万トンのカーボンクレジット購入契約出光興産は、2030年までにScope1,2の排出量を2013年度比46%削減、2050年にはカーボンニュートラル達成を掲げており、今回の出資はその一環だ。同社は「削減」だけでなく「除去」にも重点を置くことで、ネガティブエミッションの社会実装を加速させる。参照:https://www.idemitsu.com/jp/news/2025/250428.pdf