政府は5月28日、参議院本会議で改正グリーントランスフォーメーション(GX)推進法を可決・成立させた。これにより、2026年度から二酸化炭素(CO2)排出量が年間10万トン以上の企業に対して、排出量取引制度への参加が義務付けられる。新制度は、政府が各企業に対しCO2排出枠を無償で割り当てる「排出量取引(カーボンプライシング)」方式を採用。(画像出典:https://journal.meti.go.jp/p/36485/)企業は排出枠を超過した分を市場で購入し、余剰分は売却または翌年へ繰り越すことが可能となる。これにより企業間で排出量の最適配分が促され、経済的インセンティブを活用した脱炭素化の加速が期待されている。対象となるのは、鉄鋼、電力、自動車産業など排出量の多い300〜400社で、日本全体の排出量の約6割をカバーする見込み。制度に違反し、排出量の超過分を補填しなかった企業には、取引価格の上限に1割を加えた追加負担が課される。政府は2050年までに温室効果ガス排出(GHG)の実質ゼロを目指しており、この制度はその一環として位置付けられる。なお、当初は排出枠を無償とし、2033年度からは電力業界を皮切りに有償化を進める予定である。制度運営はGX推進機構が担い、GX経済移行債(10年間で20兆円発行予定)の償還財源としても活用される。企業には対応コストの増大が懸念されるものの、制度が安定的に運用されれば、国内産業の脱炭素化に資する大きな一歩となる。参考:https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/217/meisai/m217080217028.htm