7月21日、森林を対象としたカーボンクレジット制度「エコシステム再生基準(ERS)」が「エクイタブル・アース(Equitable Earth)」に名称を変更した。先月に同名の森林保全基準を買収したことを受けたもので、今後は保全と再生の両方に対応する国際的な認証制度として活動する。運営体制や手法はこれまでと変わらず、2025年末には森林保全向けの新しい方法論も導入される予定である。パリで発表されたこのブランド変更は、ERSが6月に取得した森林保全基準「エクイタブル・アース」を正式に統合したもの。元の基準は、先住民リーダーや科学者、市民団体など125人以上の専門家が共同で設計し、森林の保護と地域コミュニティの権利を重視していた。エクイタブル・アースのCEO、ティボー・ソレ氏は「ERSという名前で再生事業を立ち上げたが、保全にも事業を広げる今こそ、組織の役割をより正確に示す新しい名前が必要だった」と語った。名称変更以外に、チームや方針、手法には変更はない。ERSが認証してきたカーボンクレジットはそのまま有効で、今後は「エクイタブル・アース」名義で発行される。また年内には、森林保全向けの新しい方法論「M002」を導入予定で、現在の森林再生向け「M001」と並んで運用される。この新ブランドは、カーボンクレジットの国際基準であるICVCMから、信頼できる制度としての認定であるCCPの認証を受けており、環境・社会の両面での透明性や厳格さが評価されている。現場からも期待の声が上がっている。ブラジル・アクレ州の先住民族代表フランシスカ・アララ氏は「これは単なる基準ではなく、気候正義のための道具だ」と話し、森林を守る人々が意思決定に加われる意義を強調した。また、ヤワナワ族のマリカル・ヤワナワ氏は「先住民の声を真剣に聞く姿勢がある。開発過程に関われて光栄だった」と述べた。背景には、2024年に熱帯林の喪失が前年比で80%増加するという危機的状況がある。ソレ氏は「森林の損失を止めるには時間がない。今回の統合で、保全と再生の両面から迅速な対応ができる」としている。ERSは2020年に創設され、2030年までに地球の1%を再生するという目標を掲げて活動している。今回の統合により、気候・生物多様性・地域社会のすべてに貢献するカーボン市場基準として、新たな一歩を踏み出した。参考:https://carbonherald.com/ecosystem-restoration-standard-is-now-equitable-earth/