米国エネルギー省(DOE)は5月30日、炭素回収・脱炭素化を目的とした37億ドル(約5,800億円)の資金提供を撤回した。対象にはCalpineやExxonMobilなどの大手エネルギー企業が含まれ、炭素管理技術の普及に大きな影響が及ぶ。DOEは今回、2024年の大統領選から2025年1月の政権移行期間中に承認された24件の助成金を取り消した。そのうち16件はトランプ政権下での承認案件である。Calpineが関与するカリフォルニア州とテキサス州の天然ガス発電所での炭素回収・貯留(CCS)プロジェクトに割り当てられていた5億4,000万ドル(約850億円)も撤回対象に含まれた。関連記事:エクソンモービル、CCS拡大に弾み カルパインのテキサス発電所から年間200万トンのCO2を永久貯留へDOEは、各プロジェクトが経済的に持続可能でなく、税金に対する投資収益が見込めないと判断した。今月導入された新たな評価手順に基づき、150億ドル以上に及ぶ179件のプロジェクトが再評価対象となっている。エネルギー長官のクリス・ライト氏は、「国民の最善の利益のために助成金の撤回を決定した」と述べ、税金の無駄を防ぎ、国家安全保障と信頼性の高いエネルギー供給を重視する姿勢を強調した。この決定は業界内で波紋を呼んでおり、Carbon Capture Coalitionの事務局長ジェシー・ストラーク氏は「全国的な炭素管理技術の展開における大きな後退」と非難した。さらに、炭素貯留井(クラスVI)の新規申請件数も2025年第1四半期には過去2年の平均に比べ55%減少しており、今回の動きが今後の技術開発と導入に不透明感をもたらしている。参考:https://www.energy.gov/articles/secretary-wright-announces-termination-24-projects-generating-over-3-billion-taxpayer