経済産業省は6月25日、CCS(二酸化炭素回収・貯留)パイプライン案件の支援策をまとめた中間整理を公表した。政府は2030年代初頭の事業開始を目指し、2026年度までの投資判断を後押しするため、CO2回収から輸送、貯留までの費用を支援する方針を示した。CCSは、鉄鋼やセメントなど電化や水素化が難しい産業の脱炭素化に欠かせない技術だ。政府はエネルギーの安定供給と経済成長、脱炭素化を同時に進めるため、CCS事業の普及を急ぐ。今回の整理では、CO2回収や輸送、貯留にかかるコストと、炭素価格との差額を埋める「コスト差支援」を行う方針を示した。これにより、企業がCCS事業へ投資しやすくする。支援期間は中長期に設定し、CO2回収コストが炭素価格を下回り、事業が自立できるまで支援を続ける。支援期間後も一定期間、CCSの継続実施を義務付ける仕組みも検討している。輸送と貯留にかかる費用はオークションで決定し、企業間の競争を通じてコストを抑える仕組みを導入する。一方、分離回収コストは企業ごとに異なるため、個別に審査する形を取る。日本国内は貯留適地が限られ、コストの低いCCSの実現は簡単ではない。政府は2030年代初頭からの事業開始を目指し、まず一定規模のCCS事業を動かすことでコスト削減と普及を進める考えだ。越境輸送によるCCSについては、液化CO2船の仕様統一や国際的なルール作りが必要で、今後の検討課題となっている。政府はこの支援策をもとに、GX-ETS(排出量取引制度)との整合を取りながら、国内にコスト競争力のあるCCSの仕組みを確立していく方針だ。参考:https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shigen_nenryo/carbon_management/20250701_report.html