アイスランドのCarbfix社は4月30日、欧州で初めてEUのCCS指令に準拠した陸上CO2貯留許可を取得した。同社は今後、ヘトリスヘイジ地熱発電所で年間最大10.6万トン、30年間で最大320万トンのCO2を地中に鉱物化処理する計画だ。欧州における炭素貯留の新たな転換点として、Carbfix社がEU CCS指令下で初となる陸上でのCO2地質貯留許可を取得した。許可を発行したのはアイスランド環境エネルギー庁で、対象となるのは同国南西部に位置するヘトリスヘイジ地熱発電所である。Carbfixは、水に溶かしたCO2を地下の玄武岩層に注入し、数年以内に安定した炭酸塩鉱物へと変化させる独自技術を10年以上かけて開発してきた。2012年の実証運転開始以降、同技術で累計10万トン近いCO2を安全に地中貯留しており、これまでは研究用途として10万トン未満の閾値内で運用されていた。今回の許可取得により、ON Power社の大規模地熱発電所と、Climeworks社のDACユニット2基(うち1基は世界最大)から排出されるCO2を本格的に回収・鉱物化する体制が整った。今後はHellisheiði発電所全体の排出に対応可能となる。Carbfixは、商業化されたCO2鉱物化技術を提供する世界初の企業として、さらに年間300万トンの処理能力を目指す「Coda Terminal」プロジェクトも進行中だ。同プロジェクトはEUのイノベーション基金から約390万ユーロの支援を受けており、ON PowerやClimeworksとの連携を深めながら、欧州域内のカーボン貯留インフラ整備に貢献する見通しである。CarbfixのCEOであるエッダ・シフ・ピンド・アラドッティル氏は、「この許可取得は気候変動への真の貢献に向けた成長の一歩であり、アイスランドが新たな産業創出の先頭に立ち続けることを示しています」と語っている。参照:https://www.carbfix.com/newsmedia/carbfix-hlytur-eitt-af-fyrstu-starfsleyfum-i-evrop