英国の気候保険スタートアップArtioは5月1日、ロンドンの保険市場ロイズより正式にカバーホルダー認定を取得した。これは、開発初期段階にあるカーボンプロジェクトを対象とした保険商品の提供を可能にするもので、信頼性ある初期資金流入を促す画期的な取り組みとして注目されている。【本文】Artioは、カーボンプロジェクトが実行に至る前段階、すなわちプレフィージビリティ(実行可能性調査)段階での保険提供を可能にした世界初の保険会社である。東京海上ホールディングス、Markel、Apolloなど大手保険グループから再保険キャパシティを得ており、グローバルな市場展開が可能となった。同社は独自開発のリスクモデルを用いて、財務、気候、政策、方法論的要因による「クレジット未達成リスク」を事前に評価・補償。これにより、従来リスクが高く投資しづらかった初期段階プロジェクトへの資金供給が加速する。特に今後、アフォレスタレーション(ARR)やバイオ炭(Biochar)、さらにDAC(直接空気回収)、ERW(強化岩風化)といった除去系CDRに保険提供対象を拡大予定で、信頼性あるクレジット発行のインフラ整備に貢献する。Artio共同創業者のビラル・フセイン氏は、「早期段階での保険提供は、脱炭素投資の新たな入口を開く。保険は品質シグナルであり、我々のデータ駆動型モデルがグローバルな投資を後押しする」と語った。ロイズの商業教育・エンゲージメント責任者ロージー・デニー氏も、「Artioのような先進的なソリューションこそ、持続可能な未来への推進力。保険はカーボン市場成長のカギを握る」と述べている。カーボン市場が2030年〜2035年に年間1,000億ドル規模に達すると予測される中、2024年だけで160億ドル以上の早期投資が行われており、Artioの登場は今後の市場成長を下支えする制度的ブレークスルーといえる。https://www.artiocarbon.com/blog/artiolloydscoverholder