カナダ最大の都市型イノベーション拠点MaRS Discovery Districtは4月3日、三菱商事(米州)、ENEOS Americas、三菱総合研究所などで構成される日系コンソーシアム「M-Lab」と協力し、カナダの炭素除去スタートアップ6社からカーボンクレジットを先行購入した。本取り組みは、脱炭素技術の市場確立と投資誘導を目的としたものである。MaRSは過去半年間にわたり、企業向け教育プログラムとクレジット購入支援を組み合わせたプロジェクトを実施。M-Labの参加企業は、炭素除去の仕組みや購買プロセスについて実践的な知見を得たとされ、今後の自主的なクレジット購入の足掛かりとなる。今回選定された6社は、直接空気回収(DAC)、バイオマス利用、鉱物化固定など多様な除去技術を有し、今後最大3年間にわたりクレジットを提供。MaRSは総額12万ドル分のカーボンクレジットを先行購入しており、カナダにおける早期市場の創出と企業の実証機会の確保を図る。MaRSの気候部門ディレクターであるタイラー・ハミルトン氏は「炭素除去技術への投資はもはや選択肢ではなく、早期採用者の存在が産業の拡大とコスト低減を左右する」と述べている。M-Lab側の三菱商事(米州)シリコンバレー支店マネージャー・小崎玲奈氏は「カナダの革新的技術を通じて、脱炭素目標達成への第一歩を踏み出せた」とコメントしている。本プロジェクトには、湿潤バイオマスからバイオオイルを生成・地中貯留するNULIFE GreenTech(サスカトゥーン)、石綿鉱山跡を活用するSkyrenu(ケベック州)、鉱物残渣を用いた固定を行うExterra(同)、寒冷地向けDACを開発するTerraFixing(オタワ)、石灰石で河川再生を図るCarbonRun(ハリファックス)、ニッケル鉱滓を用いた鉱物化を実施するArca(バンクーバー)などが含まれる。MaRSは今後も、企業や自治体との連携を通じて炭素除去市場の形成と啓発活動を進めていくとしている。引用:https://www.marsdd.com/media-centre/mars-partners-with-leading-japanese-consortium-to-accelerate-canadas-carbon-removal-industry/