SBTi(Science Based Targets initiative)は3月18日、企業の温室効果ガス排出削減のための新しいガイドライン案「ネットゼロ基準バージョン2.0(CNZS v2.0)」を公開した。これにより、企業の気候対策に対する実行力や透明性を高める狙いがある。今回の改訂案では、単に「意欲的な目標を掲げる」だけでなく、実際にどれだけ排出削減が進んでいるかを評価対象にする方針に切り替える。また、電力などによる間接排出(Scope 2)では、証書を使って帳簿上の排出量を小さく見せる手法に対し、より実態に即した評価を導入する。企業には、ロケーションベースと、証書などに基づく排出量のマーケットベースの両方を基準として設定することが求められる。注目されるのは、カーボンクレジットの使い方に関するルール変更だ。企業が目標達成のためにクレジットを使って「帳尻合わせ」をすることは、引き続き認めない方針が示された。その一方で、自社の事業とは直接関係しない排出を減らす活動への投資「バリューチェーン外削減(BVCM)」は、責任ある取り組みとして奨励される。また、将来的にも削減が難しい「残った排出」に対しては、炭素除去(森林吸収や地中貯留など)による対応も検討されている。ただし、どの程度の排出が「残余」とされるか、どのように除去を評価するかといった詳細は、今後さらに明確にしていく必要があるとしている。さらに、追跡が難しい排出や、削減が困難な場面では、燃料や商品に関する証書の活用も一部で認められる方向だ。これは「間接的な削減措置」と呼ばれ、あくまで限定的な手段と位置づけられている。SBTiは、今回の改訂案について、企業や専門家、市民からの意見を6月1日まで募集している。最終的な決定には、試験運用や専門家による議論を踏まえる予定だ。引用:https://sciencebasedtargets.org/blog/draft-corporate-net-zero-standard-v2-explained-environmental-attribute-certificates