CO2を回収して地中深くに貯留する「CCS」、価値ある「資源」として有効活用する「CCU」、この二つを合わせた言葉を、「CCUS(二酸化炭素回収・有効利用・貯留)」といいます。この記事では、CCUSについてその具体的な利用方法と、それが拓く新しい経済の可能性を解説します。CCUSとは?CCUS(Carbon Capture, Utilization, and Storage)とは、一言で言うと「回収したCO2を、資源として「有効活用(Utilization)」し、その上で「貯留(Storage)」する技術」の総称です。CCSがCO2を大気から隔離することに主眼を置くのに対し、CCUSはそれに加え、CO2を新たな製品やエネルギーの原料として活用するという選択肢を持つ点が特徴です。日本は、この「有効活用」を「カーボンリサイクル」として推進しています。なぜCCUSが重要なのか?CCUSは、気候変動対策に「経済合理性」という新しい軸をもたらし、持続可能な産業開発を促進する上で重要な役割を担います。CCU、CCSで挙げた重要性と同様です。まとめと今後の展望CCUSは、CO2を「資源」として捉え直し有効活用するCCUと、その上で貯留するCCSを、組み合わせた言葉であることを解説しました。【本記事のポイント】CCUSは、CCSに「有効利用(Utilization)」の概念を加えたもの。CO2を燃料・化学品・建材などに転換し、新たな価値を生み出す。日本では「カーボンリサイクル」として国家戦略レベルで推進されている。コストと、製品ライフサイクルにおけるCO2隔離の永続性が主な課題。今後、世界の脱炭素化が進む中で、大規模なCO2を半永久的に処理するCCSが気候変動対策の「守り」の基盤だとすれば、CCUSは新たな産業と価値を創造する「攻め」の戦略と言えます。その成功の鍵は、変換プロセスに不可欠なグリーン水素などのクリーンエネルギーを、いかに低コストで大量に確保できるかにかかっています。CCUSは、エネルギーシステム全体の変革と一体となって進む、未来のサーキュラーエコノミーを象徴する技術なのです。