脱炭素インフラの要、CO2輸送・貯留を担う中核企業にINPEX株式会社と関東天然瓦斯開発株式会社は11日、首都圏におけるCCS事業の事業化に向けた合弁会社「首都圏CCS株式会社」を共同で設立したと発表した。本プロジェクトは、JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)による先進的CCS事業の一環として推進されている。新会社は、CCSバリューチェーンの中でも「輸送・貯留」分野を担い、CO2貯留層の技術評価やパイプライン敷設ルートの検討、さらには事業化に向けた実行可能性の評価などを担当する。今後は国・自治体・地域社会の理解と協力を得ながら、商用化に向けた調査と計画を進める。同プロジェクトでは、日本製鉄がCO2の分離・回収を担当し、INPEXと関東天然瓦斯開発が輸送・貯留を担うという分担体制が敷かれている。産業集積地を多く抱える首都圏において、排出されたCO2を回収・輸送・地中貯留するインフラ構築は、脱炭素社会の実現に向けた重要な取り組みとされている。INPEXは2月に発表した中期経営計画(2025~2027年)および「INPEX Vision 2035」の中で、CCSと水素を組み合わせた低炭素ソリューションを成長戦略の柱に位置付けており、今回の事業もその一環となる。今後は、CCS技術を自社利用だけでなく外部企業への提供にも展開し、温室効果ガス排出削減の裾野を広げる方針を掲げている。また、関東天然瓦斯開発は親会社であるK&Oエナジーグループの長期ビジョン「VISION2030」に基づき、CCSや再生可能エネルギーなどの将来事業を強化。中期経営計画「MidPlan 2027」(2025~2027年)では、脱炭素関連ビジネスを主要な成長戦略の一つと位置づけている。今回の合弁会社設立は、日本国内におけるCCS事業の実装加速と将来的なカーボンクレジット制度との連動にも期待が集まっており、官民連携による低炭素社会のインフラ整備が本格化しつつある。参照:https://www.inpex.com/news/2025/20250401_b.html