地産地消カーボンクレジットで教育支援 滋賀銀行が学習船へ30トン寄贈

村山 大翔

村山 大翔

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滋賀銀行は2月5日、独自の寄付スキーム「未来よし+(プラス)」を通じて、滋賀県立びわ湖フローティングスクールが運営する学習船「うみのこ」に30トンの「びわ湖カーボンクレジット」を寄贈した。

この取り組みは、同船の運航時に排出される二酸化炭素(CO2)の一部を相殺するカーボンオフセットを目的としている。子どもたちの環境学習の場である学習船を、より環境負荷の低い形で支援する。

今回の寄贈は、同行が展開する脱炭素支援型金融商品の実績に応じ、地域の環境保全活動などへ資金を拠出する仕組みを活用したものだ。提供されたカーボンクレジットは、滋賀県内の綿向生産森林組合が適切に管理する森林から創出された「J-クレジット」であり、地元産のクレジットを地域内で循環させる「地産地消型」のモデルとなっている。

学習船「うみのこ」は、滋賀県内の小学5年生を対象とした宿泊体験型学習を実施しており、就航から40年以上で累計64万人を超える児童が乗船してきた。琵琶湖の自然環境を直接体感する教育現場において、実際の経済活動で生じた排出量を地域の森林資源で埋め合わせるカーボンクレジットの仕組みを導入することは、生きた環境教材としての側面も持つ。

「びわ湖カーボンクレジット」は、国のJ-クレジット制度に基づき、滋賀県内での省エネや再生可能エネルギーの導入、森林管理によって得られた削減・吸収量を県が認証したものである。購入代金は森林整備などに還元されるため、カーボンオフセットを通じて地域の生物多様性保全やネットゼロの実現に寄与する。

滋賀銀行は「『三方よし』で地域を幸せにする」というパーパスを掲げており、金融機能を通じた地域の脱炭素化を加速させる方針だ。今後は、寄附を受けたフローティングスクール側での環境教育の深化とともに、県内事業者による地元産クレジットの活用拡大が期待される。

今回のニュースは、単なる「銀行による寄附」に留まらない重要な意味を持っている。特筆すべきは、J-クレジットを「地域内で循環」させている点だ。

カーボンクレジットは国際的なボランタリークレジットに注目が集まりがちだが、本件のように地域の森林組合が創出した価値を、地元の金融機関が買い取り、地域の教育機関へ還元するという「地域経済の循環」は、日本国内の他自治体にとっても極めて再現性の高い成功モデルと言える。

今後、カーボンクレジットの価格高騰が見込まれる中で、こうした強固な地域コミュニティ内での調達ルートを確保することは、企業のサステナビリティ戦略において大きなアドバンテージとなるだろう。

参考:https://www.shigagin.com/news/topix/3653