瀬戸田レモンマラソン、Jブルークレジット活用で国内最大級の地産地消オフセット 「地域循環型脱炭素」のモデルケースへ

村山 大翔

村山 大翔

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広島県尾道市瀬戸田町で2026年2月22日に開催される「せとだレモンマラソン2026」において、地元由来のブルーカーボンを活用したカーボンオフセットが実施される。

総排出見込量160.8t-CO2のうち、約26%に相当する41.9t-CO2を、尾道市の藻場再生事業から創出された「Jブルークレジット®」で相殺する。スポーツイベントを起点とした「カーボンクレジットの地産地消」は、日本の地域経済と脱炭素を両立させる好事例として注目を集めている。

今大会の総参加者数は約1,700人と過去最大を見込んでおり、それに伴う環境負荷の算出にも注力している。提携パートナーのPermanent Planet(パーマネント・プラネット)の試算によると、大会全体のCO2排出量は160.8t-CO2。内訳は移動に伴う排出が122.3t-CO2、宿泊に伴うものが38.5t-CO2となっており、長距離移動が主要な排出源であることが浮き彫りとなった。

これに対し、カーボンオフセット量は前回の10t-CO2から41.9t-CO2へと大幅に拡大。国内の地域密着型スポーツイベントとしては大規模となる。

カーボンオフセットに活用される「Jブルークレジット®」は、ジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)が認証する高付加価値なカーボンクレジットだ。今回使用されるのは、尾道市の「海のゆりかご(干潟・藻場)再生による里海づくり」プロジェクトから生まれたもの。

カーボンクレジットの調達にはプレス工業、丸善製薬、ゴールドウインなどの企業・組織が参画している。

また、特筆すべきは、参加ランナーのエントリー費の一部が直接カーボンクレジットの購入資金に充てられている点だ。これにより、「走る」という行為が地域の藻場再生という「炭素除去(CDR)」活動に直結する循環構造を構築している。

ブルーカーボンは、森林による吸収よりも単位面積あたりの吸収能力が高いとされる。世界的に高品質な炭素除去(CDR)への需要が高まる中、日本独自の「Jブルークレジット®」は、その透明性と地域還元性の高さから、サステナビリティ投資を行う企業にとって魅力的な選択肢となっている。

本大会では単なるカーボンオフセットにとどまらず、マイボトルの必携化や生分解性素材の採用など、徹底した「削減」も並行して実施されており、環境省が推進するデコ活や循環経済(サーキュラーエコノミー)の先駆的な事例といえる。

今後の課題は、移動に伴う122.3t-CO2という巨大な排出量をいかに低減・相殺していくかにある。主催のしおまち企画は、ウェブコンテンツ「ハレの日新聞」を通じた地域理解の促進や、域内消費の拡大を図ることで、スポーツツーリズムの質的向上を目指す。

本件は、カーボンクレジットが単なる「免罪符」ではなく、地域の自然資本を再投資するための「資金調達手段」として機能している好例である。

特にJブルークレジットは1トンあたり数万円で取引されることもあるプレミアムクレジットだが、地域企業が「地元の海を守る」という文脈で投資することで、CSRとマーケティングの両面で高い訴求力を発揮している。

中小企業や自治体が主催するイベントにおいて、この「地産地消モデル」は今後、脱炭素化の主要なテンプレートになるだろう。

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000020.000070170.html