南米最大かつブラジル唯一のATPツアー大会「リオ・オープン」は、国連(United Nations)から「カーボンニュートラル・イベント」としての公式認定を受けた。
民間エネルギー最大手のエンジー(ENGIE)とのパートナーシップにより、2020年から2025年までの大会期間中に発生した累計6,486トンの温室効果ガス排出量を、カーボンクレジットを用いてオフセットした。
リオ・オープンは2020年に2020年大会の排出量400トンをカーボンオフセットしたことから取り組みを開始した。2022年からは、大会全体の総排出量の約76%を占める「観客の移動」に伴う間接排出(Scope3)の相殺にも着手。2024年には4年連続で国連認定を取得し、直近の2025年大会では単年で1,800トンを超える炭素相殺を達成している。
今回のオフセットに活用されたカーボンクレジットは、ブラジルのジラウ水力発電所(Jirau Power Plant)から供給されたものである。炭素市場における高品質なカーボンクレジット活用は、同大会のサステナビリティ・プラットフォーム「リオ・オープン・グリーン(Rio Open Green)」の核となっている。世界的なカーボンクレジットの市場価格が1トンあたり数ドルから数十ドルで推移する中、数千トン規模の継続的な相殺は、スポーツ興行における環境コストの内部化を象徴する動きといえる。
これまで大規模イベントにおける排出責任は、会場内の電力消費や運営車両に限定される傾向があった。しかし、リオ・オープンが排出量の大部分を占める観客の交通手段まで網羅したことは、今後の国際的なスポーツイベント運営における新たなスタンダードを提示した。
今後は、単なる排出相殺にとどまらず、大気中から直接炭素を回収する炭素除去(CDR)技術の導入や、さらなる低炭素な観客移動手段の促進が期待される。大会組織委員会は、スポーツの力を通じて気候変動対策を加速させる姿勢を鮮明にしている。
スポーツ界での「観客移動(Scope3)」まで踏み込んだ相殺は、日本国内のJリーグやプロ野球、また2025年大阪・関西万博を控える日本企業にとっても避けて通れない課題だ。現状は回避・削減クレジット(水力発電等)が主軸だが、今後はより付加価値の高い炭素除去(CDR)クレジットへの移行が、ブランド価値向上に直結する時代が来るだろう。
参考:https://www.rioopen.com/en/sustentabilidade/carbon-neutral
