電子計測機器大手の小野測器は2025年12月9日、国内モータースポーツ最高峰の「全日本スーパーフォーミュラ選手権(以下スーパーフォーミュラ)」において、2025年シーズンの全参戦車両が排出した二酸化炭素(CO2)を、同社が保有する「J-クレジット」を用いてカーボンオフセットしたと発表した。計測機器メーカーとしての技術的知見に加え、森林由来カーボンクレジットの活用を通じた環境貢献モデルを提示した形だ。
今回の取り組みは、スーパーフォーミュラを運営する日本レースプロモーション(JRP)とのパートナーシップに基づくものである。小野測器は、2025年シーズンの全戦および公式テストで使用されたガソリン総量からCO2排出量を算出し、その全量に相当する173.5トン分のカーボンオフセットを実施した。
活用されたJ-クレジットは、国が認証する温室効果ガス排出削減・吸収量制度に基づくものだ。同社は特に、栃毛木材工業などの協力のもと、地域森林の保全活動に由来するカーボンクレジットを調達している。これにより、単なる数値上の帳消しにとどまらず、地方の森林管理への資金循環や環境保全活動を支援するという質の高いカーボンオフセットを実現している点が特徴である。
同社は小野測器グリーン・ファクトリー活動と題し、脱炭素経営を加速させている。自社拠点(宇都宮テクニカル&プロダクトセンター等)では、太陽光発電設備の導入や高圧電力の100%再エネ化(グリーン電力化)、照明のLED化を推進。これらの施策により、2024年のCO2排出量(Scope1,2)は2022年比で51%削減を達成しており、2025年には同59%減を見込んでいる。
さらに同社は、自社主催の技術展「小野測器テクニカルレビュー2025」においても、会場設営や電力使用に伴う5トン分のCO2をオフセット済みだ。計測技術で産業界を支える同社は、2030年までにScope1,2におけるCO2排出量を2022年比で80%削減する目標を掲げている。モータースポーツという発信力の高い分野でのオフセット事例は、産業界全体の脱炭素意識を喚起する一手となるか注目される。
参考:https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/whats_new/press/25_12_9.htm

