サーバー排出量2026年分を実質ゼロ化 リーピーが岐阜県産J-クレジットで「地産地消型」オフセット

村山 大翔

村山 大翔

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岐阜県岐阜市に拠点を置くウェブ制作会社の株式会社リーピー(以下、リーピー)は12月23日、同社が運営管理する顧客ウェブサイトのサーバー稼働に伴う2026年1年間の二酸化炭素(CO2)排出見込み量について、J-クレジット制度を活用したカーボン・オフセットを完了したと発表した。

同社は地元・岐阜県高山市の木質バイオマスプロジェクト由来のクレジットを選択しており、環境負荷低減と地域経済への貢献を同時に目指す。

今回のオフセット対象は、2026年1月から12月までの期間に同社が管理するサーバーの電力消費によって排出される推定2トンのCO2全量である。

リーピーは排出量の算定に基づき、2025年12月9日付でクレジットの無効化(償却)手続きを完了させた。これにより、来年1年間にわたり対象サーバー上で運営される顧客サイトは、実質的にカーボンニュートラルな状態で稼働することになる。

活用されたのは、高山市の入浴施設「しぶきの湯 遊湯館」における「木質バイオマス コージェネレーション導入によるCO2削減プロジェクト」から創出された再生可能エネルギー由来のクレジットである。同プロジェクトは、地域の森林資源を活用したエネルギー転換を推進しており、リーピーは「地方の未来をおもしろくする」という自社のビジョンに基づき、地元産のクレジットを調達することで地域内での資金循環を後押しする。

一連の手続きは、環境省の「カーボン・オフセット・プロバイダープログラム」に参加する株式会社ウェイストボックス(愛知県名古屋市)の支援を受けて実施された。リーピーの川口聡代表取締役は、事業活動に伴う排出削減を加速させるとともに、地域資源を活用した環境貢献を通じて、持続可能な社会の実現と顧客のビジネス支援に取り組む姿勢を示している。

リーピーはウェブマーケティングや採用支援のほか、地域創生に特化した「リープ・グッド」事業を展開しており、共感型ふるさと納税メディアの運営なども手がけている。今回のカーボン・オフセットは、単なる環境対策に留まらず、地域貢献に関心を持つ民間企業と社会課題解決を結びつける同社の事業戦略を象徴する動きと言える。

今回のニュースは、中小規模のサービスプロバイダーによる「ハイパーローカルなカーボン・オフセット」の先行事例として注目されます。

従来、ITインフラに伴うオフセットは安価な海外クレジットや大規模な森林保全プロジェクトが選ばれる傾向にありましたが、リーピーは「岐阜県産」の木質バイオマスクレジットにこだわりました。これは、環境貢献を「コスト」ではなく、地元顧客への「ブランディング」および「地域経済の循環(地方創生)」という付加価値に変換する戦略的な選択です。

今後、ウェブ制作や広告運用などのB2Bサービスにおいて、提供価値に「環境負荷ゼロ」を標準装備する動きはさらに加速するでしょう。特に日本市場においては、クレジットの「由来(どこで、誰が作ったか)」を重視するストーリー性の高いオフセットが、中小企業の脱炭素化を促す強力なドライバーになると予測されます。

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000152.000095919.html