衛生材料大手の川本産業は2026年2月20日、廃棄焼却時に発生する二酸化炭素(CO2)をカーボンクレジットによって相殺する「カーボンオフセットごみ袋」の販売を開始した。プラスチック資源循環促進法の施行以降、企業の環境対応が急務となるなか、リサイクルが困難で焼却処分に頼らざるを得ないポリエチレン製品の「排出責任」を無効化する新たな選択肢を提示する。
本製品の最大の特徴は、製品のライフサイクル全体、特に最終処分段階である「焼却」のプロセスで排出されるCO2を、カーボンクレジットを用いてオフセットしている点にある。導入企業は、日常的に使用する消耗品をごみ袋に切り替えるだけで、追加のオペレーション負荷をかけることなく、自社の環境負荷低減やサステナビリティ方針への適合を対外的に証明することが可能となる。
背景には、日本のプラスチック3R(リデュース・リユース・リサイクル)推進における構造的な課題がある。現在、国内のレジ袋やごみ袋の多くは、汚れや素材の特性から物理的なリサイクルが難しく、その多くがサーマルリカバリー(熱回収)を含む焼却処分に回されている。この際、化石燃料由来のプラスチックが燃焼することで不可避的にCO2が発生するが、同社はこの「避けられない排出」に対し、カーボンクレジットを活用した補完的な解決策を講じた形だ。
川本産業は、1914年(大正3年)の創業以来培ってきた医療・衛生用品の供給網を活かし、脱炭素経営を加速させる国内企業や医療機関向けに販路を拡大する構えだ。
今後は、ごみ袋単体でのオフセットに留まらず、使用されるクレジットの透明性確保や、より除去能力の高いCDR由来クレジットとの連動など、クレジットの「質」を通じた差別化が業界全体の論点となるだろう。消耗品を通じた「身近な脱炭素」は、中小企業を含む広範なプレイヤーにとって、環境投資へのハードルを下げる重要な一歩となることが期待される。
