東京都荒川区は、新潟県村上市が発行する森林由来のJ-クレジットを購入し、区の事業活動で排出された温室効果ガスの一部をカーボンオフセットした。購入量は212トンで、対象は令和6年度に区の公用車の使用に伴って排出された分とされる。
村上市は、鮭の生育環境を支える森林の整備を通じてJ-クレジットを創出しており、販売収入は再び森林整備や脱炭素化施策に還元される。荒川区による今回の購入は、自治体間での地域連携型オフセットの好例とされ、地方の自然資源を活用したカーボンクレジット市場の循環を促す狙いがある。
荒川区はこれまでも村上市との交流事業として、「鮭のまちで学ぶ森林・自然体験ツアー」を毎年10月に実施してきた。参加者は植樹や枝打ち、薪割りなどを体験し、森・川・海のつながりや森林の役割について学ぶ。この交流を通じて、村上市の森林整備が都市住民に理解され、地域発の脱炭素活動として認知が広がっている。
J-クレジット制度は、温室効果ガスの削減や吸収量を国が認証する仕組みで、企業や自治体が自らの排出量を補うために活用できる。村上市の「豊かなさけの森林づくりクレジット」は、森林整備を通じた吸収量を可視化したもので、企業の環境貢献やESG広報の手段として注目されている。
荒川区の担当者は「都市部と地方の協働によるカーボンオフセットの実績が、地域間連携の新しいモデルとなることを期待している」と述べた。村上市では今後もクレジット販売を通じて森林保全と地域経済の両立を進める方針だ。
参考:https://www.city.arakawa.tokyo.jp/a024/kankyou/shoene_ondantaisaku/offset.html