世界銀行の支援で国別の気候ファイナンス・炭素金融フレームワークを策定
コンゴ盆地の6カ国が、広大な熱帯林を気候ファイナンスと持続可能な経済成長の基盤へ転換するための戦略的青写真を発表した。世界銀行(World Bank)が先週公表した声明で明らかになった。
カメルーン、中央アフリカ共和国、コンゴ民主共和国、赤道ギニア、ガボン、コンゴ共和国の6カ国は、それぞれの国情に応じた「森林セクターにおけるカーボンクレジット市場・気候ファイナンス戦略ロードマップ」を策定した。これらの計画は、世界銀行のコンゴ盆地向け分析・助言サービス(ASA)の支援を受けて作成され、各国が国際的なカーボンクレジット市場に信頼性をもって参入し、成果ベースの支払いを動員するための道筋を示すものである。
カーボンクレジット市場は「ゲームチェンジャー」になり得る
世界銀行のシェイク・ファンタマディ・カンテ(Cheick Fantamady Kanté)地域部門ディレクターは、「カーボンクレジット市場はコンゴ盆地諸国にとってゲームチェンジャーとなり得る。ただし、適切な基盤条件が整っている場合に限る」と述べた。
戦略ロードマップは「コンゴ盆地森林生態系勘定」のデータを基盤とし、気候目標と各国の開発優先事項を整合させる内容となっている。
パリ協定6条準拠のMRV整備が柱
同フレームワークは、6カ国の政府が以下の取り組みを推進するための基盤を提供する。
- 省庁間の制度的連携の強化
- 公平な利益配分メカニズムの構築
- パリ協定6条に準拠した測定・報告・検証(MRV)のデジタルシステムへの投資
ロードマップは、
- 国家政策枠組みの気候ファイナンス・カーボンクレジット市場要件への整合
- 市場参入のための制度・政策構造の構築
- 必要な技術的インフラの開発
- パブリックコンサルテーションとセーフガード要件の充足
- ロードマップ実施のための気候ファイナンス源の特定
- キャパシティビルディングの必要性の把握
の6つの柱で構成されている。
各国の進捗には大きな格差
ガボンとコンゴ共和国は、すでに成果ベースの炭素契約やREDD+のパイロットプロジェクトを進めている先行国である。一方、赤道ギニアや中央アフリカ共和国は、開発の初期段階にある。コンゴ民主共和国とカメルーンでは、キャパシティの格差が新ロードマップの重点課題として位置づけられている。
世界銀行によれば、本イニシアティブは同地域の物語を「森林の喪失・劣化」から「森林主導の成長」へと転換することを目指している。
先住民族・地域コミュニティの参画を重視
ロードマップは、民間セクターの関与と長期的な気候投資の誘致も目標としている。同時に、地域コミュニティや先住民族が新興のカーボンエコノミーに実質的に参画できることを確保する設計となっている。広範なステークホルダー協議を経て、各国の優先事項に根ざした形で策定された本計画は、カーボンクレジット市場、グリーンジョブ、気候レジリエントな経済開発に紐づく持続可能なファイナンスを解放するための一歩と位置づけられている。
コンゴ盆地は世界第2位の熱帯林面積を有し、そのREDD+ポテンシャルは計り知れない。今回のロードマップが注目に値するのは、パリ協定6条準拠のMRVインフラ整備と制度設計を同時に進めている点である。日本企業にとっては、二国間クレジット制度(JCM)やGX-ETSにおけるカーボンクレジット調達先の多様化という観点から、コンゴ盆地諸国の制度成熟度を継続的にウォッチする意義がある。
特にガボンやコンゴ共和国の先行事例は、森林由来の自然由来カーボンクレジットの品質と追加性の評価において、今後のベンチマークとなり得る。
参考:https://openknowledge.worldbank.org/entities/publication/33b80ace-f346-41b4-9b86-c526bf818b33
