東邦ガスは2026年2月18日、同社が推進する「知多e-メタン製造実証」を通じた都市ガスのカーボンニュートラル化への取り組みが、2026愛知環境賞において最高位の「金賞」を受賞したと発表した。
独自の二酸化炭素回収・利用(CCU)技術により、既存の都市ガスインフラを活用しながら脱炭素化を実現する先駆的なビジネスモデルが、地域経済と環境の両立において高く評価された形だ。
今回の受賞の核心は、e-メタン(合成メタン)を単に製造するだけでなく、国内で初めて都市ガス原料として商用供給し、その環境価値を制度的に裏付けた点にある。同社は2025年6月、e-メタン利用に伴うCO2排出量を「温対法(温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度:SHK制度)」においてゼロとみなせるメニュー別排出係数を国内で初めて設定・公表。これにより、導入企業は法的な排出削減実績としてカウントすることが可能となった。
実証の舞台となっている知多市南部浄化センターでは、下水処理過程で発生するバイオガス由来のCO2と、LNGの冷熱発電による電力を活用した水素を反応させ、環境性の高いe-メタンを生成している。この燃料は、アイシンなどの大口需要家へ既に販売されており、既存のガス導管や燃焼機器を一切変更せずに利用できる点が最大の強みである。
政府が掲げる2050年のカーボンニュートラル目標に向け、ガス業界では2030年までに既存導管へのe-メタン1%注入、2050年には90%という高い目標を掲げている。東邦ガスの取り組みは、このロードマップにおける「社会実装の雛形」となる。
今後は製造設備のスケールアップによるコスト低減が課題となるが、1兆円規模の投資が見込まれる次世代エネルギー市場において、同社の中部地区におけるプレゼンスは一段と高まる見通しだ。
本件は単なる技術実証ではなく、e-メタンに「排出係数ゼロ」という法的価値(証書的属性)を付与した点が極めて重要である。自社での直接削減が困難な熱需要を抱える中小製造業にとって、既存設備を維持したまま実質的なカーボンクレジットを調達するのと同等の効果を得られるこの仕組みは、今後の脱炭素戦略における現実的な解となるだろう。
参考:https://www.tohogas.co.jp/corporate-n/press/1257073_1342.html
