「スーパー汚染物質カーボンクレジット」 Therm Solutions、シリーズAで約5.3億円の資金調達 食品サプライチェーン脱炭素化へ

村山 大翔

村山 大翔

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米イリノイ州レイクフォレストのサーモ・ソリューションズ(Therm Solutions, Inc.)は8月21日、シリーズA資金調達で360万ドル(約5億3,000万円)を確保したと発表した。出資者は2021年のシードラウンドに参加した同じ民間投資家で、今回の資金は「スーパー汚染物質カーボンクレジット」の国際展開加速に充てられる。サーモは、この市場が2030年までに100億ドル(約1兆4,700億円)規模に成長すると見込む。

スーパー汚染物質とは、冷媒やメタンなど二酸化炭素の数百~数千倍の温室効果を持つ気体で、これまでの地球温暖化の最大45%を占めてきたとされる。食品サプライチェーンは冷媒の最大消費部門であり、メタンの主要発生源でもあることから、排出削減の焦点となっている。関連するカーボンプロジェクトは年率35%超で成長している。

サーモはこれまでに米国、カナダ、欧州で累計200万件超のスーパー汚染物質クレジットを発行した。同社のプロジェクトはBeZero Carbonの格付けで「A」2件と「AA」1件を取得し、世界全体のカーボンプロジェクト上位2%に入っている。

サーモ共同創業者で最高経営責任者(CEO)のフリッツ・トローラー氏は「スーパー汚染物質削減という高インパクト領域に気候金融を導入するためにサーモを立ち上げた。この資金調達により、我々はグローバルに組織を拡大し、この数十億ドル市場を確実に捉える」と述べた。

同社は自発的市場、規制市場、さらに企業のサプライチェーン排出削減(スコープ3インセッティング)に対応し、世界の食品小売、コンビニ、冷蔵倉庫、農家に資金を供給する。クレジットは冷媒の代替導入や食品廃棄削減を資金面で支え、即効性のある排出削減を「不可逆リスクなし」で実現する点を特徴としている。

今回の調達でサーモは、従来型カーボンクレジットに比べ即効性と追加性が高いとされるスーパー汚染物質クレジット市場で存在感を一層強めることになる。次の焦点は、アジア市場への展開と2030年までの市場拡大スピードに注目が集まる。

参考:https://www.therm.cool/-blog/therm-series-a