川崎市は8月20日、廃棄物焼却施設から排出される二酸化炭素(CO2)を膜分離法で分離・回収する国内初の実証試験を2026年3月から開始すると発表した。場所は川崎市浮島処理センターで、住友化学株式会社、JFEエンジニアリング株式会社と共同で実施する。
同市は2024年3月、JFEエンジニアリングと「廃棄物処理におけるCO2分離回収・利活用システムの共同研究協定」を締結しており、今回の実証はその一環となる。膜分離法は排ガスを特殊な膜に通し、CO2だけを分離する技術で、省スペースかつ低コストが特徴とされる。
現在主流の化学吸収法は高い回収率と純度を誇る一方、大規模設備と高額な費用が課題で、1トン当たり1万円以上と試算される。これに対し、膜分離法は1トン当たり2,000円台での回収を目標に掲げており、低濃度かつ酸性ガスを含むごみ焼却由来の排ガス処理に適した方式と期待されている。
本プロジェクトは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が推進する「グリーンイノベーション基金事業」に採択されている。住友化学が膜分離技術の研究開発を担当し、JFEエンジニアリングが廃棄物処理分野への適用を担う。実証試験は2026年3月から2030年3月まで実施される予定だ。
川崎市は2025年3月に「廃棄物処理施設の中長期的な整備構想」を策定しており、今回の実証成果を踏まえて将来的な設備導入を検討する方針だ。同市環境局は「技術的・経済的な課題を整理し、官民連携で廃棄物焼却のカーボンニュートラル実現を目指す」と述べている。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000228.000124454.html