三井化学の「バイオAdBlue®」を山九が採用 化学製品輸送でCO2削減モデル構築へ

村山 大翔

村山 大翔

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山九株式会社と三井化学株式会社は8月21日、山九が運行する化学製品輸送用タンクローリー車の一部で、三井化学製のマスバランス方式による「バイオAdBlue®」を6月から使用開始したと発表した。ディーゼル車排出ガス中の窒素酸化物(NOx)を浄化するAdBlue®を、従来の石油由来から部分的にバイオマス原料に切り替えることで、製品ライフサイクル全体の温室効果ガス(GHG)排出量を最大7割削減できるという。

今回採用された「バイオAdBlue®」は、バイオマス由来尿素をマスバランス方式で割り当てた製品で、石油由来品と同等の品質を維持しつつ、環境負荷を低減する。三井化学の算定によれば、製品カーボンフットプリントは従来品比で約70%削減可能であり、経済産業省・環境省の「カーボンフットプリントガイドライン」に基づきLCA評価済みである。

山九は主力の化学製品輸送で環境対応を強化する狙いで、まずエチレンオキシド(EO)輸送タンクローリー車に導入した。今後は対象車両や運行地域を拡大し、低炭素型物流モデルの構築を進める方針だ。両社は「化学産業・物流業界におけるGHG削減の実効策を示すとともに、サプライチェーン全体で環境価値を創出する」としている。

マスバランス方式は、再生可能原料と従来原料を混合利用する際、投入量に応じて製品に環境価値を割り当てる手法である。従来難しかった素材のバイオマス化を可能にし、カーボンニュートラル実現に向けた重要な技術とされる。三井化学はすでに40品目超で同方式を活用しており、ケミカルリサイクルの展開においても中核的役割を担うとしている。

両社は今回の取り組みを、化学産業の低炭素化と物流分野の環境対応を結びつける事例として位置づけ、今後の普及拡大を目指す。

参考:https://jp.mitsuichemicals.com/jp/release/2025/2025_0821_2/index.htm