スイスを拠点とするグローバル・シー・シンク・レジストリ(Global C-Sink Registry)は、国際民間航空機関(ICAO)が主導するカーボンオフセット制度CORSIAへの認証申請を行った。
同レジストリはバイオ炭などの高品質な炭素除去(CDR)に特化したプラットフォームとしての地位確立を目指しており、航空業界の排出削減需要の取り込みを図る。
グローバル・シー・シンク・レジストリは、ICAOの専門家組織である技術諮問委員会(TAB)に対し、CORSIAの適格基準を満たすための審査を要請した。認定が得られれば、同レジストリが発行するバイオ炭由来などのクレジットは、航空会社がCORSIAの義務履行のために使用可能な公的手段となる。同レジストリはブロックチェーン技術を活用し、クレジットの発行から取引、無効化までを透明化することで、二重計上の防止とデータの信頼性確保を徹底している。
航空業界を取り巻くカーボンクレジット市場では、既に競争が激化している。
2025年末の時点で、ACRやVCSを含む8つのプログラムが第1フェーズ(2024年から2026年)の認定を取得済みである。また、グローバル・カーボン・カウンシル(Global Carbon Council)も2026年初頭に向けて継続的な評価を受けており、新規参入を目指すレジストリには厳格な基準への適応が求められている。
一方で、同レジストリは強化風化(ERW)に関するプロセスの進展を一時停止している。これは技術的な測定手法の確立や、CORSIAが求める極めて高い水準の確実性を担保するための戦略的判断とみられる。ICAOによるプログラム評価は定期的に実施されており、今回の申請の成否は、バイオ炭を軸としたCDRクレジットが航空業界の主要な解決策として定着するかどうかの重要な試金石となる。
今回の申請は、CORSIAにおけるクレジットの主流が、従来の「森林保護による排出回避」から「バイオ炭などの物理的な除去(CDR)」へと明確にシフトし始めたことを示唆している。
日本国内でもバイオ炭プロジェクトは拡大傾向にあるが、国際航空という巨大市場の認証を得ることは、クレジットの価格安定と信頼性向上に直結する。
一方で、強化風化(ERW)の進展が一時停止された点は、測定・報告・検証(MRV)の難易度が依然として高いことを物語っており、今後は手法間での「質の選別」がよりシビアに進むだろう。


