建設由来CO2を70%削減する「CO2固定型コンクリート」を初適用 五洋建設が脱炭素化を加速

村山 大翔

村山 大翔

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五洋建設は1月26日、製造工程で二酸化炭素(CO2)を吸収・固定した再生骨材を使用する環境配慮型コンクリート「CELBIC-RA(セルビック アールエー)」を、東京都府中市の建設現場に初めて適用した。

同社を幹事とするBFCCU研究会の13社が共同開発した新素材を、エクシオ府中技術センタの立体駐車場基礎部分に約1,100立方メートル投入した。

今回の施工により、従来のコンクリートと比較してCO2排出量を205トン削減し、建設業界における炭素除去(CDR)技術の社会実装を大きく前進させた。

「CELBIC-RA」は、結合材の70%を高炉スラグ微粉末に置き換えた低炭素コンクリート「CELBIC」に、CO2を吸収・固定させた再生骨材を組み合わせた材料である。

コンクリート全体の質量に対する副産物やリサイクル材の割合は87%に達し、日本建築学会の環境性評価において「資源循環等級3」および「低炭素等級3」の最高水準に該当する

五洋建設.「CELBIC-RAのCO2排出量削減効果」.取得日:2026年1月29日, https://www.penta-ocean.co.jp/news/2026/260126.html

建築構造物への適用に不可欠な国土交通省(MLIT)の大臣認定をすでに取得しており、場所打ち杭や基礎などの主要構造部への使用が可能となっている。

本プロジェクトでは、天然骨材のすべてを再生骨材M(中品質)に置き換えることで、約2,000トンの天然資源使用を回避した。再生骨材は、破砕や磨砕といった機械的処理の過程で大気中のCO2を炭酸塩として固定する性質を持つ。加熱などの特殊な工程を必要としないため、製造時のエネルギー消費を抑えつつ、確実な炭素貯留を実現できる点が技術的な強みである。

五洋建設は、サプライチェーン全体での排出量削減と資源の有効活用を掲げ、2050年のカーボンニュートラル実現を目指している。同社は今後、この「CELBIC-RA」および「CELBIC」を実現場へ積極的に普及させる方針を示した。

建設資材そのものを炭素の貯蔵庫とするCCS的アプローチは、都市インフラを巨大な「炭素沈殿池」に変える可能性を秘めている。

都市インフラが「炭素の貯蔵庫」へ変わる兆し

今回の五洋建設による発表は、単なる「エコ素材の採用」にとどまらず、建設セクターにおける炭素除去(CDR)と資源循環の完全統合を示す重要な転換点である。

これまで建設業界の脱炭素化は「セメント使用量の削減」という排出抑制が主眼であったが、今回の技術は再生骨材にCO2を物理的に「固定」させる点に大きな付加価値がある。これは、カーボンクレジット市場においても注目される「建設資材への炭素貯留(Carbon Storage in Building Materials)」というカテゴリーに合致する。

特に、1,100立方メートルの施工で205トンのCO2削減という具体的数値は、大規模な都市開発においてJ-クレジットなどの手法と組み合わせれば、事業の経済性を補完する強力なインセンティブになり得るだろう。

今後は、この「固定量」がどのように定量化され、クレジットとして市場価値を持つのか、そのルール形成の動向が次の焦点となる。

参考:https://www.penta-ocean.co.jp/news/2026/260126.html